デジタルメンタルヘルスとは?ニーズ増の背景と日本のサービス事例
心の健康である「メンタルヘルス」への関心が世界的に高まっており、人工知能(AI)やチャットボットといったデジタル技術を活用した「デジタルメンタルヘルス」を提供するサービスが増えています。
メンタルヘルスの問題を抱える人は多く、パフォーマンス低下に伴う経済損失などが問題視されています。効果的な対策であるデジタルメンタルヘルスは、将来有望なビジネスといえるでしょう。
成長市場で働きたいと考えている人は、デジタルメンタルヘルス領域の会社に転職するのも方法のひとつです。
この記事では、初めてデジタルメンタルヘルスに触れる人にもわかりやすいよう、概要や注目される背景、具体的な事例を解説します。
メンタルヘルスの問題を抱える人は多く、パフォーマンス低下に伴う経済損失などが問題視されています。効果的な対策であるデジタルメンタルヘルスは、将来有望なビジネスといえるでしょう。
成長市場で働きたいと考えている人は、デジタルメンタルヘルス領域の会社に転職するのも方法のひとつです。
この記事では、初めてデジタルメンタルヘルスに触れる人にもわかりやすいよう、概要や注目される背景、具体的な事例を解説します。
デジタルメンタルヘルスってそもそも何?概要を解説
基本のキ!デジタルメンタルヘルスとは?
メンタルヘルスは、身体の健康ではなく心や精神の健康を意味します。「世界保健機関(WHO)」の定義では「自身の可能性を認識し、日常のストレスに対処でき、生産的かつ有益な仕事ができ、さらに自分が所属するコミュニティに貢献できる健康な状態」とされています。
メンタルヘルスが良好だとやる気を持って仕事やプライベートを楽しめますが、不調の場合はパフォーマンスを充分発揮できないのはもちろん、精神疾患を発症するかもしれません。その結果、将来に影響したり、自殺など命を落としたりするケースもあります。
近年、心の病気は増加傾向にあり、生涯を通じて5人に1人がかかるといわれているほどです。特別な人だけではなく、ストレスなどのきっかけにより、誰でもかかる可能性があるため、予防が重要だといえます。
デジタルメンタルヘルスは、AI・チャットボット・ウェアラブルデバイス・仮想現実(VR)といった最先端のデジタル技術を用いて、メンタルヘルスの維持や改善をサポートする技術です。メンタルヘルスの不調への新しいアプローチとして注目されています。
デジタルメンタルヘルスの主なタイプ
デジタルメンタルヘルスといっても、その形はさまざまです。大きく分けると、次のようなタイプがあります。
セルフケアアプリ・チャットボット型
スマートフォンアプリやAIチャットボットを使って、気分や睡眠、ストレス度合いなどを記録したり、簡単なセルフチェックや、認知行動療法(CBT)に基づくワークに取り組んだりするタイプです。好きな時間に自分のペースで使えるため、「まずは気軽にメンタルケアを始めてみたい」という人に向いています。
オンラインカウンセリング・遠隔セラピー型
ビデオ通話や音声通話、チャットなどを通じて、臨床心理士や公認心理師、カウンセラーなどの専門職に相談できるタイプです。対面のカウンセリングと比べて、通院の時間や場所の制約が少なく、対面より話しやすいと感じる人もいます。
企業・学校向けメンタルヘルスプラットフォーム型
ストレスチェックや相談窓口、セルフケアコンテンツや研修動画などをパッケージにして、企業や学校単位で導入するタイプです。従業員・学生のストレス状況を全体として把握しつつ、一人ひとりが必要に応じて相談・セルフケアを利用できるようにする仕組みです。
ウェアラブル・バイタルデータ活用型
スマートウォッチなどで心拍・睡眠・活動量などのデータを計測し、ストレス状態や疲労の蓄積を見える化するタイプです。メンタルの不調は自分でも気付きにくいことがありますが、こうした客観的なデータをきっかけに「そろそろ休んだほうがいいかも」といったセルフケアにつなげる狙いがあります。
この記事で紹介している「emol(エモル)」や「KibunLog」、「Smart相談室」なども、こうしたタイプのいずれかに当てはまります。「自分や自社に合いそうなのはどのタイプか?」という視点で整理してみると、サービス選びや今後のキャリアを考えるうえでもイメージしやすくなるでしょう。
コロナ禍も関係?デジタルメンタルヘルスが注目される理由とは
デジタルメンタルヘルスが注目される主な背景を紹介します。
メンタルヘルスの不調はパフォーマンスの低下や自殺につながり、経済的な損失を生みます。厚生労働省が2010年に発表した「自殺・うつ対策の経済的便益(自殺やうつによる社会的損失)」では、2009年の自殺やうつ病による社会的損失は約2.7兆円にも及ぶと推計されています。
厚生労働省が2010年に公表した試算では、自殺やうつ病などによる2009年の社会的損失は約2.7兆円とされています。その後の白書でも、メンタルヘルスの不調が就労・学業の中断や医療費の増加を通じて社会全体に大きな影響を与えていることが繰り返し指摘されており、こころの健康は個人だけでなく社会全体の重要なテーマになっています。
デジタルメンタルヘルスの普及により、メンタルヘルスの問題を解消できれば、経済的に大きなメリットがあるといえるでしょう。
日本はメンタルヘルス分野が遅れており、先進国のなかでは自殺者が多く、精神科の受診率が低いといわれています。
メンタルヘルス分野の遅れは、カウンセリング利用率の低さにもあらわれています。
欧米では、カウンセリングは効果的なケア方法として知られており、当たり前のように多くの人が治療を受けています。
しかし、日本ではカウンセリングを利用する人はごく少数です。2020年に「J-Net21」が発表した市場調査データによると、心理カウンセリングの利用率は全体の3%に過ぎませんでした。
その背景には、我慢することが美徳と考える文化があります。メンタルヘルスに不調があっても我慢してしまい、周囲の人に相談する、精神科を受診するといった手段を取れない人が多いのが現状です。
オンライン診療をはじめとするデジタル化によって、相談・受診のハードルが下がり、日本のメンタルヘルス領域が大きく進歩すると期待されています。
近年になって、従業員のメンタルヘルスが企業の経営に大きな影響を及ぼすことがわかってきました。
従業員がメンタルヘルスに不調を抱えていると、パフォーマンスが落ちる・休職や退職により人材を失う・精神疾患や自殺を引き起こし労災になるなど、さまざまなリスクが生じます。
そのため、メンタルヘルスケアに関する知識の従業員への提供や職場環境の改善といったさまざまな施策をする企業が増えています。それに伴い、デジタルメンタルヘルス分野のサービスのニーズも拡大していくでしょう。
新型コロナウイルスの感染拡大により、感染・重症化・死に対する恐怖の高まりや社会とのつながりが少なくなることによる孤独感などが原因で、メンタルヘルスに不調を感じる人が増加しました。
新型コロナウイルスの感染拡大により、自殺者の数は大きく変化しています。感染拡大前の日本国内における自殺者数は、15年間で年間3万人から2万人へと減少していました。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大が起こった2020年には急増しています。
新型コロナ流行以降も、若年層や女性、一人暮らし世帯など一部の層で自殺者数の高止まりが指摘されており、2023年の自殺者数は21,000人超と報告されています。不安や孤立感が長期化するなかで、日常的なメンタルケアの重要性はさらに高まっていると言えるでしょう。
日本だけでなく海外でも新型コロナウイルスの感染拡大によって、メンタルヘルスケアの必要性が高まりました。その結果、メンタルヘルスケアへの意識の高いアメリカを中心に、遠隔セラピー、VRを活用したストレスコントロールといったデジタル技術を活用したケアが注目を浴びるようになりました。
(1)メンタルヘルスの問題が経済的な損失につながる
メンタルヘルスの不調はパフォーマンスの低下や自殺につながり、経済的な損失を生みます。厚生労働省が2010年に発表した「自殺・うつ対策の経済的便益(自殺やうつによる社会的損失)」では、2009年の自殺やうつ病による社会的損失は約2.7兆円にも及ぶと推計されています。
厚生労働省が2010年に公表した試算では、自殺やうつ病などによる2009年の社会的損失は約2.7兆円とされています。その後の白書でも、メンタルヘルスの不調が就労・学業の中断や医療費の増加を通じて社会全体に大きな影響を与えていることが繰り返し指摘されており、こころの健康は個人だけでなく社会全体の重要なテーマになっています。
デジタルメンタルヘルスの普及により、メンタルヘルスの問題を解消できれば、経済的に大きなメリットがあるといえるでしょう。
(2)日本のメンタルヘルスが遅れている
日本はメンタルヘルス分野が遅れており、先進国のなかでは自殺者が多く、精神科の受診率が低いといわれています。
メンタルヘルス分野の遅れは、カウンセリング利用率の低さにもあらわれています。
欧米では、カウンセリングは効果的なケア方法として知られており、当たり前のように多くの人が治療を受けています。
しかし、日本ではカウンセリングを利用する人はごく少数です。2020年に「J-Net21」が発表した市場調査データによると、心理カウンセリングの利用率は全体の3%に過ぎませんでした。
その背景には、我慢することが美徳と考える文化があります。メンタルヘルスに不調があっても我慢してしまい、周囲の人に相談する、精神科を受診するといった手段を取れない人が多いのが現状です。
オンライン診療をはじめとするデジタル化によって、相談・受診のハードルが下がり、日本のメンタルヘルス領域が大きく進歩すると期待されています。
(3)従業員のメンタルヘルスケアに取り組む企業の増加
近年になって、従業員のメンタルヘルスが企業の経営に大きな影響を及ぼすことがわかってきました。
従業員がメンタルヘルスに不調を抱えていると、パフォーマンスが落ちる・休職や退職により人材を失う・精神疾患や自殺を引き起こし労災になるなど、さまざまなリスクが生じます。
そのため、メンタルヘルスケアに関する知識の従業員への提供や職場環境の改善といったさまざまな施策をする企業が増えています。それに伴い、デジタルメンタルヘルス分野のサービスのニーズも拡大していくでしょう。
(4)新型コロナウイルスの感染拡大
新型コロナウイルスの感染拡大により、感染・重症化・死に対する恐怖の高まりや社会とのつながりが少なくなることによる孤独感などが原因で、メンタルヘルスに不調を感じる人が増加しました。
新型コロナウイルスの感染拡大により、自殺者の数は大きく変化しています。感染拡大前の日本国内における自殺者数は、15年間で年間3万人から2万人へと減少していました。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大が起こった2020年には急増しています。
新型コロナ流行以降も、若年層や女性、一人暮らし世帯など一部の層で自殺者数の高止まりが指摘されており、2023年の自殺者数は21,000人超と報告されています。不安や孤立感が長期化するなかで、日常的なメンタルケアの重要性はさらに高まっていると言えるでしょう。
日本だけでなく海外でも新型コロナウイルスの感染拡大によって、メンタルヘルスケアの必要性が高まりました。その結果、メンタルヘルスケアへの意識の高いアメリカを中心に、遠隔セラピー、VRを活用したストレスコントロールといったデジタル技術を活用したケアが注目を浴びるようになりました。
デジタルメンタルヘルスの現状って?どんな事例があるの?
日本国内デジタルメンタルヘルス領域のサービスのなかから、代表的なものを紹介します。
「emol」は、個人のメンタルヘルス関連の課題をAIとの会話を通して解決するサービスです。AIの「ロク」とのチャットで、雑談をしたり、「認知行動療法」などのメンタルヘルスケアのレクチャーを受けることができます。
また、日々の感情や睡眠時間などを記録できるライフログ機能も備えており、メンタルヘルスケアを総合的にサポートしてくれます。
「KibunLog」は、言語化しにくい気分を感じたときに、その気持ちに近い感情を選択して言語化し、グラフで分析することで、客観的に観察できるサービスです。
認知行動療法などの医学的なエビデンスに基づいて設計されており、客観視を通して感情に振り回されないようユーザーをサポートする仕組みです。別途料金はかかりますが、提携している専門家の分析・悩み相談・コーチングも受けられます。
従業員の職場の人間関係やプライベートの悩み相談に乗り、適切なコーチングや研修を実施するサービスです。個人情報の保護を徹底しており、相談者や相談内容が職場に知られることはありません。
気軽に悩みを相談できる場を設けることで、メンタル不調があらわれる前に、サポートできるのが特徴です。さらにハラスメント相談窓口の機能も備えており、組織にとって大きなリスクであるハラスメント問題への対応策としても効果的です。
デジタルメンタルヘルスには、従来の対面相談にはなかったメリットがいくつもあります。
まず、時間や場所の制約を受けにくい点です。スマートフォンアプリやオンライン相談であれば、夜間や休日でも自分のタイミングでアクセスでき、通院のための移動時間もかかりません。仕事や育児で忙しい人でも、スキマ時間を使ってこころの状態を振り返ったり、簡単なワークに取り組んだりできます。
また、対面で人に会って話すことに抵抗がある人にとって、チャットやアプリを介したやり取りは心理的ハードルを下げてくれます。感情や睡眠、活動量などがデータとして記録されることで、「なんとなくつらい」状態を客観的に把握しやすくなるのも大きなポイントです。調子の変化をグラフやログで振り返ることで、自分のストレス要因やコンディションの傾向に気付きやすくなります。
一方で、利用時に気を付けたい点もあります。サービスごとに想定している利用シーンや支援の範囲は異なり、なかには「軽い不調のセルフケア」を前提としたものも少なくありません。強い希死念慮がある場合や、日常生活に支障が出るほどつらい状態にある場合は、アプリやチャットボットだけで抱え込まず、医療機関や公的な相談窓口など専門的な支援につながることが大切です。
また、メンタルヘルスの情報はプライバシー性が高く、個人情報や相談内容の取り扱いには細心の注意が必要です。利用する前に、運営会社やプライバシーポリシー、セキュリティ対策の説明を確認し、「どんな情報が、どのような目的で使われるのか」を理解しておくと安心です。メリットと注意点の両方を踏まえたうえで、自分に合ったデジタルメンタルヘルスとの付き合い方を見つけていくことが重要だと言えるでしょう。
(1)emol:emol株式会社
「emol」は、個人のメンタルヘルス関連の課題をAIとの会話を通して解決するサービスです。AIの「ロク」とのチャットで、雑談をしたり、「認知行動療法」などのメンタルヘルスケアのレクチャーを受けることができます。
また、日々の感情や睡眠時間などを記録できるライフログ機能も備えており、メンタルヘルスケアを総合的にサポートしてくれます。
(2)KibunLog:株式会社キママニ
「KibunLog」は、言語化しにくい気分を感じたときに、その気持ちに近い感情を選択して言語化し、グラフで分析することで、客観的に観察できるサービスです。
認知行動療法などの医学的なエビデンスに基づいて設計されており、客観視を通して感情に振り回されないようユーザーをサポートする仕組みです。別途料金はかかりますが、提携している専門家の分析・悩み相談・コーチングも受けられます。
(3)Smart相談室:株式会社Smart相談室
従業員の職場の人間関係やプライベートの悩み相談に乗り、適切なコーチングや研修を実施するサービスです。個人情報の保護を徹底しており、相談者や相談内容が職場に知られることはありません。
気軽に悩みを相談できる場を設けることで、メンタル不調があらわれる前に、サポートできるのが特徴です。さらにハラスメント相談窓口の機能も備えており、組織にとって大きなリスクであるハラスメント問題への対応策としても効果的です。
デジタルメンタルヘルスのメリットと利用時の注意点
デジタルメンタルヘルスには、従来の対面相談にはなかったメリットがいくつもあります。
まず、時間や場所の制約を受けにくい点です。スマートフォンアプリやオンライン相談であれば、夜間や休日でも自分のタイミングでアクセスでき、通院のための移動時間もかかりません。仕事や育児で忙しい人でも、スキマ時間を使ってこころの状態を振り返ったり、簡単なワークに取り組んだりできます。
また、対面で人に会って話すことに抵抗がある人にとって、チャットやアプリを介したやり取りは心理的ハードルを下げてくれます。感情や睡眠、活動量などがデータとして記録されることで、「なんとなくつらい」状態を客観的に把握しやすくなるのも大きなポイントです。調子の変化をグラフやログで振り返ることで、自分のストレス要因やコンディションの傾向に気付きやすくなります。
一方で、利用時に気を付けたい点もあります。サービスごとに想定している利用シーンや支援の範囲は異なり、なかには「軽い不調のセルフケア」を前提としたものも少なくありません。強い希死念慮がある場合や、日常生活に支障が出るほどつらい状態にある場合は、アプリやチャットボットだけで抱え込まず、医療機関や公的な相談窓口など専門的な支援につながることが大切です。
また、メンタルヘルスの情報はプライバシー性が高く、個人情報や相談内容の取り扱いには細心の注意が必要です。利用する前に、運営会社やプライバシーポリシー、セキュリティ対策の説明を確認し、「どんな情報が、どのような目的で使われるのか」を理解しておくと安心です。メリットと注意点の両方を踏まえたうえで、自分に合ったデジタルメンタルヘルスとの付き合い方を見つけていくことが重要だと言えるでしょう。
まとめ
デジタルメンタルヘルスは、アプリやオンライン相談、AIチャットボットなどのデジタル技術を使って、こころの不調のセルフケアや相談をしやすくする新しい仕組みです。
時間や場所を選ばず利用でき、対面よりも気軽に相談しやすい一方で、重い症状がある場合は医療機関や公的窓口など専門的な支援につなぐことも重要です。
メリットと注意点の両方を理解したうえで、自分に合ったデジタルサービスとうまく付き合うことが、無理なくメンタルヘルスを守る第一歩になるでしょう。
時間や場所を選ばず利用でき、対面よりも気軽に相談しやすい一方で、重い症状がある場合は医療機関や公的窓口など専門的な支援につなぐことも重要です。
メリットと注意点の両方を理解したうえで、自分に合ったデジタルサービスとうまく付き合うことが、無理なくメンタルヘルスを守る第一歩になるでしょう。

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