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臨床工学技士の難易度はどのくらい?資格取得方法など詳しく解説

医療機器のスペシャリストとして、医療現場で活躍する臨床工学技士。現代の医療には高度な医療機器の使用が不可欠なこともあり、年々重要性が増している職業です。

この記事では、臨床工学技士になる方法や難易度、臨床検査技師など近い領域の医療職との比較などを解説します。

臨床工学技士ってどんな仕事?なるにはどうしたらいいの?

臨床工学技士ってどんな仕事?なるにはどうしたらいいの?
ここでは臨床工学技士の概要や資格取得方法などを解説します。

(1)臨床工学技士とは
臨床工学技士は、医師の指示のもと、院内の医療機器や血液浄化装置・人工呼吸器といった生命維持装置の操作や保守点検を行う仕事です。医師や看護師をはじめとする他の医療従事者とチームで、患者の治療に取り組みます。

1987年に国家資格が制度化されており、比較的新しい職業といえます。厚生労働省が実施した『平成29年医療施設調査』によると、常勤に換算で280,434名が臨床工学技工士として活躍しています。

人工透析を行う現場を中心に「今の2倍は臨床工学技士が必要」という意見もあり、今後ますますニーズが高まると予想されます。

(2)臨床工学技士になる方法
臨床工学技士になるには、1年に1回実施される臨床工学技士の国家試験に合格する必要があります。国家試験の受験資格は、臨床工学技士養成課程がある4年生大学、3年制の短大または専門学校で所定のカリキュラムを修了することで得られます。

また以前に医療系資格養成所、例えば臨床検査技師や診療放射線技師、看護師の養成校などで修業したことがある場合は、専門課程を1~2年学べば受験資格を得られます。

専門学校は3年制のため、早めに資格を取得して臨床現場で経験を積みたい人に向いています。逆に大学は、時間をかけて知識や技術を深められる環境です。

臨床工学技士の合格難易度はどのくらい?学校の難易度も紹介

臨床工学技士の合格難易度はどのくらい?学校の難易度も紹介
臨床工学技士の合格難易度と、規定のカリキュラムを学べる大学や短大・専門学校の入学難易度について解説します。

(1)臨床工学技士の合格難易度
『臨床工学技士国家試験 実施結果』によると、臨床工学技士の国家試験における直近5年間の受験者数と合格率は、下記の通りです。

■2022年度 受検者数:2,603人 合格者数:2,096人 合格率:80.5 %
■2021年度 受検者数:2,652人 合格者数:2,232人 合格率:84.2%
■2020年度 受検者数:2,642人 合格者数:2,168人 合格率:82.1%
■2019年度 受検者数:2,828人 合格者数:2,193人 合格率:77.5%
■2018年度 受検者数:2,737人 合格者数:2,017人 合格率:73.7%

※https://www.jaame.or.jp/rinsyo/rinsyo_result.pdf

国家試験の合格率は、70~85%くらいが目安です。ただし、卒業時に試験を受ける受験者だけではなく、すでに学校を卒業している受験者も含んだ数値です。

8割前後と合格率の高い試験なので、大学・専門学校・短大での所定のカリキュラムを修了し、技術や知識をしっかり身につけてきた人にとっては、合格難易度はそれほど高くありません。

合否のボーダーラインは、正答率60%前後が目安です。授業で着実に学び、受験対策をすれば、無理なく合格できる試験といえます。

ちなみに、他の医療系国家資格の合格率は放射線技師が70〜85%程度、臨床検査技師が70〜80%程度。臨床工学技士と比較して大きな差はありません。

(2)臨床工学技士を目指せる学校の難易度
臨床工学技士の所定のカリキュラムを学べる学校には、大学・短大・専門学校があります。

大学はほとんどが私立大学で、国公立の大学は全国でも数えるほどです。偏差値は大学によって異なりますが、45~60程度が目安です。私立大学のなかには、偏差値30程度と比較的入りやすい大学もあります。

短大や専門学校には偏差値がありません。大学以外で学ぶ場合は、入学時の学力はあまり気にしなくてもよいでしょう。各学校で合格率に差があるので、学校を選ぶ際は合格率をチェックするのをおすすめします。

臨床工学技士の就職難易度はどのくらい?主な就職先は?

臨床工学技士の就職難易度はどのくらい?主な就職先は?
晴れて臨床工学技士の国家資格を取得した後は、就職活動が必要です。臨床工学技士の就職について解説します。

(1)臨床工学技士の主な就職先
臨床工学技士の主な就職先は、病院や透析専門のクリニックです。医療機関以外では、専門知識を活かせる医療機器メーカーの営業やフィールドエンジニアなどに就職するケースもあります。近年では医療機器開発の現場で活躍する臨床工学技士も増加しており、活躍の幅は広いといえるでしょう。

病院に就職した場合、手術室であれば手術に使用する医療機器や生命維持装置の管理・操作をするといったように、配属先によって業務内容が異なります。

(2)臨床工学技士は就職しやすい国家資格
臨床工学技士は1987年に国家資格制度ができたまだ新しい職業です。そのため、ニーズに対してまだまだ臨床工学技士の人数は不足している状態です。

医療の進歩による医療機器の高度化、高齢化に伴う糖尿病患者増加による透析患者の増加などを背景に、今後はますますニーズの高まりが予想されます。

希望する就職先などにもよりますが、基本的に就職できない可能性は低いでしょう。臨床工学技士と近い領域の医療系国家資格である臨床検査技師や放射線技師と比較しても、売り手市場の傾向にあるといえます。

臨床工学技士になる総合的な難易度はどのくらい?

臨床工学技士になる総合的な難易度はどのくらい?
臨床工学技士の国家試験の合格率は、70~85%ほどです。臨床工学技士に必要な課程を修了できる大学の偏差値は45~60くらいが目安で、短大や専門学校でも学べるので、コツコツ努力すればそれほど難易度が高いとはいえないでしょう。

しかし、臨床工学技士になるには、基本的に3~4年学校に通い続けなければいけません。さらに、医学と電気・機械の工学どちらも学ぶ必要があり、在学中の勉強はハードで、国家試験よりも進級・卒業の方がハードルが高いといえます。

また、学費も安くはありません。トータルで、専門学校は350~400万円、私立大学は500~600万円、国公立大学は250~300万円程度かかります。

このように、臨床工学技士は試験の難易度は高くはないですが、学校に通う費用や時間を考えると、決して簡単になれる職業ではないといえます。


【目指す前に知っておきたい!臨床工学技士に向いている人の特徴とは】

臨床工学技士になるには、時間・お金・勉強にかける労力が必要です。実際に臨床工学技士になってからミスマッチを起こさないよう、自分に向いているかチェックしてみましょう。

(1)勉強熱心である
臨床工学技士は、医療機器のマニュアルを読んだり、新しい医学情報を集めたりと、常に勉強が必要な職業です。自主的に学べる勉強熱心な人であれば、しっかりキャッチアップできるでしょう。

(2)コミュニケーション能力
臨床工学技士は、透析患者をはじめとする患者と接する機会が多く、相手に寄り添った対応を心がけ、信頼関係を築くためのコミュニケーション能力が求められます。医師や看護師など他の医療従事者と、スムーズに仕事をするためのチームワークも必須です。

(3)冷静さ
人工呼吸器などの生命維持装置を装着している患者など、急変のリスクのある患者の治療に携わる場面も少なくありません。万が一の事態が起きても、医師の指示のもと冷静に対応する必要があります。



【まとめ】

臨床工学技士の国家資格の合格率は8割ほどで、資格取得の難易度は高くありません。就職もしやすいため、学校に通うお金や時間はかかるものの、総合的な難易度は低めです。

臨床工学技士の仕事を探す際は、医療業界専門の転職サイトを利用するのがおすすめです。医療業界専門の転職サイトは医療機関との強いパイプがあるため、他のサイトには載らないような求人が豊富に掲載されています。