SEはさまざまな業界でニーズの高い職業ですが、特に医療業界で活躍する「医療系SE」の注目度が上がっています。

しかし、医療業界の経験がないと医療系SEの実態はわかりにくいかもしれません。この記事では、医療系SEの概要や仕事内容、メリット・デメリットを解説します。

医療系SEは大きく「院内SE」と「医療システム開発SE」の2種類にわかれます。それぞれの概要を解説します。

（1）院内SE
院内SEとは、主に中～大規模な病院で医療機関の職員としてバックオフィス部門やシステム部門に所属し、仕事をするSEを指します。

院内のPC・関連機器・ネットワーク運用の管理を中心に、電子カルテやWEB診断といった新しいシステム導入時の対応など、医療機関のIT周りをトータルに担当します。

医療機関のなかで働くため、SEとしての知識・スキルだけではなく、医療や医療業界の知識も必要な仕事です。

また、医療業界にはIT知識の少ない人が多く、依頼・相談内容も幅広いため、柔軟に対応しなければいけません。

（2）医療システム開発SE
医療機関で使用されるシステムを開発する企業の社員として、開発に携わるSEを指します。医療業界のデジタル化が進むなか、注目されている職種です。

医療業界では情報の標準化が推進されており、幅広い医療機関で使える汎用性の高いシステム開発をしなければいけません。そのため、通常のシステム開発の知見・スキルに加え、医療業界の知識や最新情報のキャッチアップも求められます。

また、医療の進歩に伴い新たに開発された医療機器をシステムに組み込み、現場で活用できるようにするのも重要な役割です。

院内SEの業務は、医療現場の実務のサポートです。具体的な仕事内容は医療機関によって異なりますが、代表的なものを紹介します。

（1）医療系システムの使用をサポートする
電子カルテや医療事務用システムなど、医療機関で使用するシステム全般をスムーズに使えるようサポートします。

電子カルテは医師や看護師が、医療事務システムは事務スタッフが入力するため、院内SEは正しい使い方やトラブル時の対応などを教えなければいけません。

（2）PC・周辺機器・ネットワーク
PC・周辺機器・ネットワークといった、医療システムを使用するために必要なものの設定・保守運用も重要な仕事です。

（3）問い合わせ対応
医師や看護師をはじめとする医療従事者からの質問・相談はもちろん、患者さんやその家族からのWEBなどに関する問い合わせ対応も担当します。幅広い層に的確に対応する力が求められます。

その他、非常時の対応なども院内SEの仕事です。「ITのことなら何でも相談できる」と何でも屋のようなポジションになることも多いのが特徴です。医療現場のデジタル化を背景に、今後ますます活躍の場が広がると考えられます。

医療システム開発SEの仕事は、医療業務システムや医療業務関連のパッケージソフトウェアの開発・保守・運用です。

医療システムを使う医療従事者のなかには、医師・看護師・医療事務などITに詳しくない人が多いため、IT知識・スキルがなくてもスムーズに使えるプロダクトを開発するのが重要です。

また、医療システムにトラブルがあると、適切な診療ができなくなるので、一般的なシステム開発よりもさらに高度な安全性が必要です。また、医療情報は機密性の高い個人情報のため、セキュリティも徹底しなければいけません。

さらに、医療機関間での情報共有やデータの標準化が進む傾向にあるため、どの医療機関でも使える医療システムが求められています。

医療のデジタル化は今後ますます加速していくと考えられ、医療システム開発SEのニーズも高まっていくでしょう。

院内SEとして働くメリット・デメリットは下記の通りです。

（1）メリット
・ワークライフバランスが取りやすい
勤務先にもよりますが、残業が少なく、休日出勤も少ないなど、比較的ワークバランスが取りやすい仕事です。大きなトラブルがなければ、定時で退社できるケースが多いでしょう。

・安定している
勤務先は中～大規模の医療機関が多いため、安定した職場で働きたい人におすすめです。また、給与や年間休日など待遇の良い求人が多い傾向にあります。

・人の役に立っている実感を得やすい
院内SEは、医療従事者と同じ職場で働くため「人の役に立っている」と実感しやすい仕事です。自分の仕事が、患者の命や健康を守ることにつながるため、医療機関ならではのやりがいを得られます。

（2）デメリット
・専門外のことも聞かれる
院内SEは「ITのことなら何でも知っている」と思われているため、何でも屋になりがちです。専門外であっても、相手の立場に寄り添い解決策を考えたり、調べたり、必要に応じてシステム開発者に相談したりと、柔軟に業務を進める必要があります。

・エンジニアとしてのスキルが上がりにくい
院内SEは、一般的なエンジニアと異なりシステム開発やインフラ構築をしないため、エンジニアとしてのスキルを高めたい場合は不向きです。

ただし、組織に常駐するエンジニアとしてキャリアを積むのであれば、おすすめの仕事です。

・収入を伸ばしにくい
院内SEは残業が少ないため、開発会社のエンジニアと比べ残業で稼ぐのは難しいでしょう。収入アップには、長く働いて着実にキャリアアップする必要があります。


【医療システム開発SEの特徴って？メリット・デメリットを紹介】
医療システム開発SEとして働くメリット・デメリットは下記の通りです。

（1）メリット
・ニーズの高い業界で開発スキルを伸ばせる
医療業界は、多くの人の命や健康を支えており、常に必要とされています。さらに、医療の進歩に伴い、新しい技術に対応したシステム開発の需要が生じるため、医療システム開発は常にニーズが高い仕事です。開発スキルを伸ばすことで、安定したキャリアを築けるでしょう。

・医療に貢献できるやりがいが大きい
医療システム開発は、多くの患者の命や健康に関わるため責任が重い反面、多くの人の役に立っているというやりがいを感じられます。

（2）デメリット
・業務量が多くなりがち
システム開発という仕事上、納期間近やトラブルが発生すると業務量が多くなりがちです。なかには、残業と休日出勤が多く、心身の疲れが溜まってしまうこともあるでしょう。

・医療や関連する法律の知識が必要
医療系システム開発では、医療の仕組みや法律に沿って、医療業界にマッチしたものが求められます。そのため、プログラミング以外の知見を身に着ける努力が必要です。


【まとめ】
医療系SEには、院内SEと医療システム開発SEの2種類があります。

院内SEは、医療機関に常駐し、システムの導入サポート、PC・関連機器・ネットワーク運用などの保守運用などを担当する仕事です。

一方、医療システム開発SEは、システム開発会社に勤務し医療機関で使用するシステムを開発します。

それぞれメリット・デメリットがあるので、どちらが自分にマッチするか検討しましょう。

医療系SEに転職する際は、医療業界に特化した転職サイトで求人を探すのがおすすめです。一般のサイトよりも、医療関係の求人が多いため、好条件の転職先が見つかる可能性が高いでしょう。