医療業界の課題って?解決に向けた取り組みも合わせて解説
2025/01/23
2025/02/07
医療業界は、医療技術の進歩や医療ニーズの増大により、今後も成長が期待される分野です。しかし、同時にさまざまな課題も抱えています。
この記事では、医療業界への転職を検討されている方に向けて、業界が直面している主要な課題や課題が深刻化した場合に起きること、その解決に向けた取り組みについて解説します。
この記事では、医療業界への転職を検討されている方に向けて、業界が直面している主要な課題や課題が深刻化した場合に起きること、その解決に向けた取り組みについて解説します。
医療従事者が不足?医療業界が抱える主な課題を紹介
医療業界の主な課題を5つ紹介します。
医療業界で最も深刻な課題の一つが、医師・看護師をはじめとする医療従事者の人手不足です。
高齢化などを背景に、医療を必要とする人の数が増え続けているのに対し、十分な医療従事者の人数を確保できていません。地方によっては、非常に厳しい状況の医療機関もあります。
医師に関しては、診療科による偏りも問題です。内科や外科といった包括的な診療を行う診療科や小児科、産婦人科などは、特に医師不足が深刻です。
医療従事者の深刻な人手不足により、一人あたりの負担が大きく、長時間労働や過剰な業務負担が問題となっています。
医療従事者の健康への悪影響や医療ミスの増加を防ぐため、業務効率化と労働環境の改善が必要です。
さまざまな業界で働き方改革が進んでいましたが、医療業界は過重労働によって必要な業務をこなすのが常態化していたため、なかなか改革が進みませんでした。
しかし、2024年4月に医師の働き方改革が開始され、一部の例外を除き時間外労働と休日労働時間の上限が「月100時間未満、年間960時間以下」に定められました。
また、これまで医師が担当してきた業務を他の職種に移管・分担する動きも進みつつあります。
とはいえ、まだまだ医療従事者の労働環境は厳しい状況です。さらに働き方改革によって不足するリソースのカバーもしなければいけません。
働き方改革をいかに進めるかは、医療業界にとって大きな課題といえるでしょう。
日本の高齢化は年々進んでおり、2025年には国民の約4人に1人が75歳以上の後期高齢者という、超高齢化社会が到来します。
高齢者は疾患を抱えることが多く、診療を受ける頻度が高い傾向にあります。さらに、糖尿病や高血圧といった生活習慣病を患っている人が多く、定期通院が必要な人も少なくありません。
このように高齢者が増えると医療の必要性が高まり、医療費の増大や医療従事者の人手不足につながります。
超高齢社会の到来や医療技術の進歩などを背景に、医療費の増大が深刻化しています。医療費が増えると、保険料や税金の増加につながります。
高齢化によって少ない人数の現役世代で高齢者を支える必要があり、負担が大きすぎるため、医療システムが維持できなくなる可能性があります。
医療従事者の負担を軽減するためには、業務効率化が必要です。電子カルテの導入をはじめとするデジタル化は、業務効率化に欠かせない取り組みです。
紙ベースでの情報管理や情報共有には、時間がかかります。また、他の医療機関との情報共有が円滑に進まないことにより、重複して検査を実施してしまった事例もあります。デジタル化をすれば、医療の効率・質を向上させられるはずです。
しかし、現状ではデジタル化は不十分です。厚生労働省が発表した「
電子カルテシステム等の普及状況の推移」によると、2020年時点で一般病院の電子カルテシステムの普及率は、57.2%と6割に満たない数字です。
病院の規模別に見ると、400床以上の一般病院での普及率は91.2%と高いのに対し、200床未満の病院では48.8%と半分に満たない数字です。今後さらなるデジタル化の推進が求められます。
製薬会社が新薬を開発しても、すぐに医療機関で処方できるわけではありません。治験を行い、人体への有効性や副作用などのリスクを確認したうえで、厚生労働省の承認を得て、初めて処方できます。
近年、新薬の開発から発売までに時間がかかる、海外で承認された新薬が日本で承認されるまでに時間がかかるといった「ドラッグ・ラグ」の問題が、ニュースなどで取り上げられるようになりました。
特に海外で承認された抗がん剤や希少疾患の治療薬が日本で承認されていないため使えないという問題は、患者の生命・健康に大きな影響を与えます。
背景には、国内の患者が非常に少なくコストを回収できないため承認に向けた準備が進みにくい、治験の被験者が集まりにくい、承認を担当する機関のリソースが不足しているといった問題があります。
さらに医療機器の分野でも、「デバイス・ラグ」と呼ばれる問題があり、承認プロセスの効率化などの取り組みが必要です。
(1)医師・看護師など医療従事者の人材不足
医療業界で最も深刻な課題の一つが、医師・看護師をはじめとする医療従事者の人手不足です。
高齢化などを背景に、医療を必要とする人の数が増え続けているのに対し、十分な医療従事者の人数を確保できていません。地方によっては、非常に厳しい状況の医療機関もあります。
医師に関しては、診療科による偏りも問題です。内科や外科といった包括的な診療を行う診療科や小児科、産婦人科などは、特に医師不足が深刻です。
(2)働き方改革
医療従事者の深刻な人手不足により、一人あたりの負担が大きく、長時間労働や過剰な業務負担が問題となっています。
医療従事者の健康への悪影響や医療ミスの増加を防ぐため、業務効率化と労働環境の改善が必要です。
さまざまな業界で働き方改革が進んでいましたが、医療業界は過重労働によって必要な業務をこなすのが常態化していたため、なかなか改革が進みませんでした。
しかし、2024年4月に医師の働き方改革が開始され、一部の例外を除き時間外労働と休日労働時間の上限が「月100時間未満、年間960時間以下」に定められました。
また、これまで医師が担当してきた業務を他の職種に移管・分担する動きも進みつつあります。
とはいえ、まだまだ医療従事者の労働環境は厳しい状況です。さらに働き方改革によって不足するリソースのカバーもしなければいけません。
働き方改革をいかに進めるかは、医療業界にとって大きな課題といえるでしょう。
(3)高齢化
日本の高齢化は年々進んでおり、2025年には国民の約4人に1人が75歳以上の後期高齢者という、超高齢化社会が到来します。
高齢者は疾患を抱えることが多く、診療を受ける頻度が高い傾向にあります。さらに、糖尿病や高血圧といった生活習慣病を患っている人が多く、定期通院が必要な人も少なくありません。
このように高齢者が増えると医療の必要性が高まり、医療費の増大や医療従事者の人手不足につながります。
(4)医療費の増大
超高齢社会の到来や医療技術の進歩などを背景に、医療費の増大が深刻化しています。医療費が増えると、保険料や税金の増加につながります。
高齢化によって少ない人数の現役世代で高齢者を支える必要があり、負担が大きすぎるため、医療システムが維持できなくなる可能性があります。
(5)デジタル化
医療従事者の負担を軽減するためには、業務効率化が必要です。電子カルテの導入をはじめとするデジタル化は、業務効率化に欠かせない取り組みです。
紙ベースでの情報管理や情報共有には、時間がかかります。また、他の医療機関との情報共有が円滑に進まないことにより、重複して検査を実施してしまった事例もあります。デジタル化をすれば、医療の効率・質を向上させられるはずです。
しかし、現状ではデジタル化は不十分です。厚生労働省が発表した「
電子カルテシステム等の普及状況の推移」によると、2020年時点で一般病院の電子カルテシステムの普及率は、57.2%と6割に満たない数字です。
病院の規模別に見ると、400床以上の一般病院での普及率は91.2%と高いのに対し、200床未満の病院では48.8%と半分に満たない数字です。今後さらなるデジタル化の推進が求められます。
(6)新薬承認までの時間が長い
製薬会社が新薬を開発しても、すぐに医療機関で処方できるわけではありません。治験を行い、人体への有効性や副作用などのリスクを確認したうえで、厚生労働省の承認を得て、初めて処方できます。
近年、新薬の開発から発売までに時間がかかる、海外で承認された新薬が日本で承認されるまでに時間がかかるといった「ドラッグ・ラグ」の問題が、ニュースなどで取り上げられるようになりました。
特に海外で承認された抗がん剤や希少疾患の治療薬が日本で承認されていないため使えないという問題は、患者の生命・健康に大きな影響を与えます。
背景には、国内の患者が非常に少なくコストを回収できないため承認に向けた準備が進みにくい、治験の被験者が集まりにくい、承認を担当する機関のリソースが不足しているといった問題があります。
さらに医療機器の分野でも、「デバイス・ラグ」と呼ばれる問題があり、承認プロセスの効率化などの取り組みが必要です。
医療業界の課題が深刻化するとどうなる?主なリスクを紹介
医療業界が抱える課題がさらに深刻になると、どのような事態が起きるのかを紹介します。
医療従事者が不足することにより、患者のケアが手薄になる可能性があります。
さらに多忙による確認不足や医療従事者の過重労働による集中力の低下が原因で、患者の取り違えや薬剤の処方ミス、誤診といった生命にかかわるミスが発生するリスクがあります。
人口減少が進む地方では、医療機関の経営や人材確保が厳しくなっています。その結果、病院の統廃合や診療所の閉鎖が進み、地域医療の維持が困難なケースも発生しています。
特に難病や希少疾患の場合、高い専門性を持つ医師は都市部に集中しており、アクセスが難しいのが現状です。
今後ますます都市部に医療従事者が集中すると、地域医療が維持できなくなり、必要な医療を受けられない人が増え、住民の健康リスクが増大します。
医療費の増大に伴い、健康保険料・税金・年金などに影響が出る可能性があります。その結果、経済的に大きな影響が出るかもしれません。
医療費の負担が増えるなか、経済的な理由から必要な医療を受けることをためらう人が増える可能性があります。
経済的にゆとりのある人は高額な費用の支払いによって医療サービスを受けられますが、経済的に厳しい人は医療にアクセスできず、健康格差が拡大します。
その結果、所得が低い層で、病気の悪化やQOLの低下といったリスクが発生します。
(1)医療の質が低下する
医療従事者が不足することにより、患者のケアが手薄になる可能性があります。
さらに多忙による確認不足や医療従事者の過重労働による集中力の低下が原因で、患者の取り違えや薬剤の処方ミス、誤診といった生命にかかわるミスが発生するリスクがあります。
(2)地域医療が維持できない
人口減少が進む地方では、医療機関の経営や人材確保が厳しくなっています。その結果、病院の統廃合や診療所の閉鎖が進み、地域医療の維持が困難なケースも発生しています。
特に難病や希少疾患の場合、高い専門性を持つ医師は都市部に集中しており、アクセスが難しいのが現状です。
今後ますます都市部に医療従事者が集中すると、地域医療が維持できなくなり、必要な医療を受けられない人が増え、住民の健康リスクが増大します。
(3)医療費負担が増える
医療費の増大に伴い、健康保険料・税金・年金などに影響が出る可能性があります。その結果、経済的に大きな影響が出るかもしれません。
(4)健康格差の拡大
医療費の負担が増えるなか、経済的な理由から必要な医療を受けることをためらう人が増える可能性があります。
経済的にゆとりのある人は高額な費用の支払いによって医療サービスを受けられますが、経済的に厳しい人は医療にアクセスできず、健康格差が拡大します。
その結果、所得が低い層で、病気の悪化やQOLの低下といったリスクが発生します。
医療課題の解決方法って?主な取り組みを紹介
紹介してきた医療課題の解決のために、どのような取り組みが行われているのかを解説します。
国の主導のもと教育機関や地方自治体が連携し、医療業界の人材不足解消に向けた取り組みが進んでいます。
医師を確保する取り組みの主なものは、医師養成課程における臨床研修・専門研修への注力、地域枠の活用、キャリア形成プログラムの実施などです。
看護師に関しては、新規養成・復職支援・定着支援の3つの軸で、元看護師の復帰支援を含めた取り組みを実施しています。
厚生労働省は「医療DX令和ビジョン2030 」を提言し、医療のDX化を目指しています。全国医療情報プラットフォームの構築・電子カルテ情報の標準化・診療報酬改訂DXといった取り組みを通して、デジタル化を進めることで、医療現場を効率化できます。
また、近年オンライン診療の普及が進んでおり、医療の地域格差の解消や診療の効率化につながると期待されています。
医療現場の効率化により、人材不足の解消や医療費の抑制などの効果が得られるでしょう。
ジェネリック医薬品は、特許が切れた後に新薬と同じ有効成分を使用して製造販売される薬で、新薬と同レベルの効果・安全性のある医薬品です。
新薬と比べて開発費が安い分、低価格なため、医療費抑制の手段として広まっています。
(1)人材不足解消への取り組み
国の主導のもと教育機関や地方自治体が連携し、医療業界の人材不足解消に向けた取り組みが進んでいます。
医師を確保する取り組みの主なものは、医師養成課程における臨床研修・専門研修への注力、地域枠の活用、キャリア形成プログラムの実施などです。
看護師に関しては、新規養成・復職支援・定着支援の3つの軸で、元看護師の復帰支援を含めた取り組みを実施しています。
(2)デジタル化の推進
厚生労働省は「医療DX令和ビジョン2030 」を提言し、医療のDX化を目指しています。全国医療情報プラットフォームの構築・電子カルテ情報の標準化・診療報酬改訂DXといった取り組みを通して、デジタル化を進めることで、医療現場を効率化できます。
また、近年オンライン診療の普及が進んでおり、医療の地域格差の解消や診療の効率化につながると期待されています。
医療現場の効率化により、人材不足の解消や医療費の抑制などの効果が得られるでしょう。
(3)ジェネリック医薬品の利用促進
ジェネリック医薬品は、特許が切れた後に新薬と同じ有効成分を使用して製造販売される薬で、新薬と同レベルの効果・安全性のある医薬品です。
新薬と比べて開発費が安い分、低価格なため、医療費抑制の手段として広まっています。
まとめ
医療業界は、医療従事者の人材不足や働き方改革など多くの課題を抱えています。課題が深刻化すると、医療の質が低下する・地方医療が維持できないといったリスクがあります。
しかし、それらの解決に向けた取り組みも着実に進んでいます。医療業界への転職を検討する際は、これらの課題や取り組みを十分に理解した上で、自身のキャリアプランを考えることが重要です。
また、課題解決に向けた取り組みが、新たなビジネスや職種を生み出す可能性もあります。医療業界の変化を知ることで、より良いキャリアを築けるでしょう。
しかし、それらの解決に向けた取り組みも着実に進んでいます。医療業界への転職を検討する際は、これらの課題や取り組みを十分に理解した上で、自身のキャリアプランを考えることが重要です。
また、課題解決に向けた取り組みが、新たなビジネスや職種を生み出す可能性もあります。医療業界の変化を知ることで、より良いキャリアを築けるでしょう。

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