臨床工学技士の重要スキル!透析について徹底解説
2024/11/11
2024/11/11
臨床工学技士は、医療機器の操作・点検・修理などを担う医療機器のスペシャリストです。なかでも透析は、臨床工学技士の代表的な仕事のひとつです。
この記事では、透析業務に携わる臨床工学技士の具体的な仕事内容や透析業務に携わるメリット・デメリット、透析室と透析クリニックの違いなどについて解説します。
この記事では、透析業務に携わる臨床工学技士の具体的な仕事内容や透析業務に携わるメリット・デメリット、透析室と透析クリニックの違いなどについて解説します。
臨床工学技士は透析のプロ!具体的な業務内容を解説
臨床工学技士の重要な役割である透析業務について詳しく解説します。
人工透析とは、腎臓機能が低下した患者さんの血液をきれいにする治療法です。慢性腎不全などによって腎臓が上手く働かなくなると、体内の不要な水分や老廃物を尿として排出できなくなります。水分や老廃物がたまった結果、心臓に負担がかかるなどさまざまな悪影響が生じます。
日本で一般的に行われている透析は「血液透析」と呼ばれています。血液透析では「ダイアライザー」と呼ばれる人工腎臓を使用して血液を浄化します。血液透析の流れは、次の通りです。
患者の血管に専用の針を2本刺して血液を体外に取り出し、ダイアライザーへと送ります。ダイアライザーには人工膜でできた管があり、管の中を血液が通り、管の外を透析液が流れています。ダイアライザーを通った血液は、老廃物や余分な水分が取り除かれ、きれいな状態になって患者の体内へと戻ります。
血液透析は、1回~5時間程度で週2~3回行う必要があります。
透析における臨床工学技士の主な担当業務は、下記の通りです。
・透析前の準備
透析を開始する前に、透析液が正しく準備されているか・機械がスムーズに動くかを確認します。透析の回路やダイアライザーのセッティングも、臨床工学技士の担当業務です。
・穿刺
穿刺(せんし)とは、空の針を患者の身体に刺して、血液を取り出す作業です。患者の身体から血液を透析回路へ送るために欠かせない処置で、透析のたびに穿刺をしなければいけません。
透析用の針は通常の採血用の針よりも太く、穿刺は大きな痛みのある処置です。さらに穿刺をするのは、透析時に大量の血液をスムーズに取り出せるよう、手術で動脈と静脈をつないだ「シャント」と呼ばれる血管です。万が一、傷つけると、出血などのトラブルにつながります。
痛みをなるべくおさえ、シャントを傷つけないように針を刺すのは、高度なスキルが求められます。
・透析装置の操作
正しい手順で透析装置を操作します。患者の生命・健康に直結する治療なので、正確性が重要です。
・モニタリング
フロアを回って、透析がスムーズに行われているか確認します。機械の誤作動や透析による症状の変化にも対応します。
・透析後のメンテナンス
透析が終わったら、針を抜いて止血します。次の透析がスムーズに進むよう、透析装置の洗浄・メンテナンスを行います。
・定期点検
透析に使用する機器は、非常に精密なので安全・効率的に使用するには、日々のメンテナンスが欠かせません。定められたペース・内容で定期点検を実施し、修理・メンテナンスをします。
日本透析医学会が実施した統計調査によると、2022年末時点の透析患者は、全国で347,474人にのぼります。高齢化などを背景に、今後も透析患者は増加すると考えられ、臨床工学技士の重要性は高まっていくでしょう。
(1)透析とは
人工透析とは、腎臓機能が低下した患者さんの血液をきれいにする治療法です。慢性腎不全などによって腎臓が上手く働かなくなると、体内の不要な水分や老廃物を尿として排出できなくなります。水分や老廃物がたまった結果、心臓に負担がかかるなどさまざまな悪影響が生じます。
日本で一般的に行われている透析は「血液透析」と呼ばれています。血液透析では「ダイアライザー」と呼ばれる人工腎臓を使用して血液を浄化します。血液透析の流れは、次の通りです。
患者の血管に専用の針を2本刺して血液を体外に取り出し、ダイアライザーへと送ります。ダイアライザーには人工膜でできた管があり、管の中を血液が通り、管の外を透析液が流れています。ダイアライザーを通った血液は、老廃物や余分な水分が取り除かれ、きれいな状態になって患者の体内へと戻ります。
血液透析は、1回~5時間程度で週2~3回行う必要があります。
(2)透析における臨床工学技士の担当業務
透析における臨床工学技士の主な担当業務は、下記の通りです。
・透析前の準備
透析を開始する前に、透析液が正しく準備されているか・機械がスムーズに動くかを確認します。透析の回路やダイアライザーのセッティングも、臨床工学技士の担当業務です。
・穿刺
穿刺(せんし)とは、空の針を患者の身体に刺して、血液を取り出す作業です。患者の身体から血液を透析回路へ送るために欠かせない処置で、透析のたびに穿刺をしなければいけません。
透析用の針は通常の採血用の針よりも太く、穿刺は大きな痛みのある処置です。さらに穿刺をするのは、透析時に大量の血液をスムーズに取り出せるよう、手術で動脈と静脈をつないだ「シャント」と呼ばれる血管です。万が一、傷つけると、出血などのトラブルにつながります。
痛みをなるべくおさえ、シャントを傷つけないように針を刺すのは、高度なスキルが求められます。
・透析装置の操作
正しい手順で透析装置を操作します。患者の生命・健康に直結する治療なので、正確性が重要です。
・モニタリング
フロアを回って、透析がスムーズに行われているか確認します。機械の誤作動や透析による症状の変化にも対応します。
・透析後のメンテナンス
透析が終わったら、針を抜いて止血します。次の透析がスムーズに進むよう、透析装置の洗浄・メンテナンスを行います。
・定期点検
透析に使用する機器は、非常に精密なので安全・効率的に使用するには、日々のメンテナンスが欠かせません。定められたペース・内容で定期点検を実施し、修理・メンテナンスをします。
(3)透析業務の将来性
日本透析医学会が実施した統計調査によると、2022年末時点の透析患者は、全国で347,474人にのぼります。高齢化などを背景に、今後も透析患者は増加すると考えられ、臨床工学技士の重要性は高まっていくでしょう。
病院の透析室と透析クリニックって何が違うの?特徴を紹介
臨床工学技士が透析業務に携わる職場は、主に総合病院の透析室と透析クリニックです。業務内容や働き方などが異なるので、違いを知って自分に合った職場を選びましょう。
総合病院の透析室では、透析業務以外にも、機器管理業務・人工心肺業務・呼吸治療業務・手術業務などを担当します。多くの診療科と連携し、リスクの高い患者などさまざまな症状・病気の患者の治療に携われる点が特徴です。新人は透析業務を担当しながら、他の業務にも携わるため、幅広い知識・経験を身につけられます。
透析クリニックで働く臨床工学技士は、透析業務に特化している点が特徴です。透析に使用する機器の始業点検や定期点検を担当する場合もあります。透析に専念することで、専門性の高い知識・スキルを身につけられます。
働き方については、病院がカレンダー通りの勤務でオンコール・当直が発生するのに対し、透析クリニックはシフト制・または曜日による固定休で基本的に日勤のみです。
総合病院の透析室では、透析業務以外にも、機器管理業務・人工心肺業務・呼吸治療業務・手術業務などを担当します。多くの診療科と連携し、リスクの高い患者などさまざまな症状・病気の患者の治療に携われる点が特徴です。新人は透析業務を担当しながら、他の業務にも携わるため、幅広い知識・経験を身につけられます。
透析クリニックで働く臨床工学技士は、透析業務に特化している点が特徴です。透析に使用する機器の始業点検や定期点検を担当する場合もあります。透析に専念することで、専門性の高い知識・スキルを身につけられます。
働き方については、病院がカレンダー通りの勤務でオンコール・当直が発生するのに対し、透析クリニックはシフト制・または曜日による固定休で基本的に日勤のみです。
透析業務に必要なスキルって?代表的な3つを紹介
透析業務に求められる主なスキルは下記の通りです。
透析業務をスムーズに行うには、透析に関する医療知識と機械に関する技術どちらも必須です。透析の役割や人体に与える影響に対する理解を深めるとともに、機械の操作・点検・修理を適切に行うスキルを身につけましょう。
透析は、一つひとつの業務に対して責任を持ち、全力で取り組む姿勢が求められる業務です。点検・修理のミスがあると、透析に使用する医療機器はスムーズに動きません。
また、透析中に操作を誤ると、血液の浄化が上手くいかず、重大な事故につながるリスクがあります。さらに、機械の故障や患者の急変などトラブルが起きた場合は、すぐに状況を判断し、適切に対応する必要があります。
透析業務では、医師や看護師をはじめとする他の医療職との連携が不可欠です。情報を共有しながらスムーズに診療を進めるために、円滑なコミュニケーションが求められます。
さらに、患者さんとの関わりも重要です。透析治療は定期的に実施する必要があるため、患者さんとの長期的な信頼関係を築くことが求められます。患者さんの体調変化にいち早く気付き、適切な対応を取ることも、臨床工学技士の重要な役割です。
(1)透析の知識と工学知識
透析業務をスムーズに行うには、透析に関する医療知識と機械に関する技術どちらも必須です。透析の役割や人体に与える影響に対する理解を深めるとともに、機械の操作・点検・修理を適切に行うスキルを身につけましょう。
(2)責任感
透析は、一つひとつの業務に対して責任を持ち、全力で取り組む姿勢が求められる業務です。点検・修理のミスがあると、透析に使用する医療機器はスムーズに動きません。
また、透析中に操作を誤ると、血液の浄化が上手くいかず、重大な事故につながるリスクがあります。さらに、機械の故障や患者の急変などトラブルが起きた場合は、すぐに状況を判断し、適切に対応する必要があります。
(3)コミュニケーション能力
透析業務では、医師や看護師をはじめとする他の医療職との連携が不可欠です。情報を共有しながらスムーズに診療を進めるために、円滑なコミュニケーションが求められます。
さらに、患者さんとの関わりも重要です。透析治療は定期的に実施する必要があるため、患者さんとの長期的な信頼関係を築くことが求められます。患者さんの体調変化にいち早く気付き、適切な対応を取ることも、臨床工学技士の重要な役割です。
透析のスキルを活かしてキャリアアップ!主な方法を解説
透析業務は、ニーズが高く、優れた専門性が求められます。透析のスキルを活かしたキャリアアップの方法について解説します。
透析に関する資格を取得することで、透析についての高い知識・専門性を客観的に証明できます。資格取得は、スキルアップにつながる・転職に有利になる・院内の評価が上がり昇格や昇給につながる・資格手当をもらえるなど多くのメリットがあります。
透析に関する資格の代表的なものが、透析技術認定士と認定血液浄化臨床工学技士です。どちらも優れた透析の知識・スキルを認定する資格ですが、対象者が異なります。
透析技術認定士が臨床工学技士や看護師など透析に従事する人全般を対象としているのに対し、血液浄化臨床工学技士は臨床工学技士に特化しています。
透析の経験を積んで、管理職としてスタッフの教育やチーム運営に携わるキャリアパスです。管理職になることで、臨床工学技士がより力を発揮できる環境を整えるなど、新たなやりがいが得られます。さらに管理職手当が支給されるため、年収アップにつながります。
医療機関だけではなく、一般企業でも透析の知識・経験を活かせる場があります。代表的な職種は、医療機器メーカーのアプリケーションスペシャリストです。
クライアントである医療機関を訪問し、医師などに対し医療機器のデモンストレーションや商品説明、導入サポートを行います。実際に医療現場で、医療機器を使用して仕事をした経験が活かせます。
一般企業は医療機関よりも給料が高いケースが多く、成果によってはインセンティブが支給される場合も少なくありません。特に年収アップを目指す方に、おすすめのキャリアです。
(1)資格を取得する
透析に関する資格を取得することで、透析についての高い知識・専門性を客観的に証明できます。資格取得は、スキルアップにつながる・転職に有利になる・院内の評価が上がり昇格や昇給につながる・資格手当をもらえるなど多くのメリットがあります。
透析に関する資格の代表的なものが、透析技術認定士と認定血液浄化臨床工学技士です。どちらも優れた透析の知識・スキルを認定する資格ですが、対象者が異なります。
透析技術認定士が臨床工学技士や看護師など透析に従事する人全般を対象としているのに対し、血液浄化臨床工学技士は臨床工学技士に特化しています。
(2)管理職になる
透析の経験を積んで、管理職としてスタッフの教育やチーム運営に携わるキャリアパスです。管理職になることで、臨床工学技士がより力を発揮できる環境を整えるなど、新たなやりがいが得られます。さらに管理職手当が支給されるため、年収アップにつながります。
(3)一般企業に転職する
医療機関だけではなく、一般企業でも透析の知識・経験を活かせる場があります。代表的な職種は、医療機器メーカーのアプリケーションスペシャリストです。
クライアントである医療機関を訪問し、医師などに対し医療機器のデモンストレーションや商品説明、導入サポートを行います。実際に医療現場で、医療機器を使用して仕事をした経験が活かせます。
一般企業は医療機関よりも給料が高いケースが多く、成果によってはインセンティブが支給される場合も少なくありません。特に年収アップを目指す方に、おすすめのキャリアです。
まとめ
透析は、腎機能が低下した患者の血液の余分な水分や老廃物を取り除き、きれいにする治療です。透析業務は、臨床工学技士の代表的な仕事のひとつだといわれています。
病院の透析室と透析クリニックの一番の違いは、業務範囲の広さです。透析室の方が幅広い業務に携わる機会があり、透析クリニックの方がより専門性が高い傾向にあります。
透析業務で求められる主なスキルは、透析の知識と工学知識・責任感・コミュニケーション能力です。
透析業務を担当する臨床工学技士のキャリアアップ方法には、資格を取得する・管理職になる・一般企業に転職するなどがあります。
転職の際は、医療業界専門の転職エージェントや転職サイトを活用すると、透析経験を活かせる求人を見つけやすくなります。
病院の透析室と透析クリニックの一番の違いは、業務範囲の広さです。透析室の方が幅広い業務に携わる機会があり、透析クリニックの方がより専門性が高い傾向にあります。
透析業務で求められる主なスキルは、透析の知識と工学知識・責任感・コミュニケーション能力です。
透析業務を担当する臨床工学技士のキャリアアップ方法には、資格を取得する・管理職になる・一般企業に転職するなどがあります。
転職の際は、医療業界専門の転職エージェントや転職サイトを活用すると、透析経験を活かせる求人を見つけやすくなります。
この記事が気に入った場合は
Xへポストをお願いします