保健師の働く場所はどこ?主な就職先や仕事内容などを解説
2023/08/21
2025/11/06
保健師が働く場所というと保健所をイメージする人も多いと思います。しかし、保健師は医療機関や一般企業、介護施設など幅広い職場で活躍しています。
どこで働くかによって仕事内容が大きく異なるので、転職活動の際はそれぞれの特徴を理解することをおすすめします。
この記事では、保健師の概要や就職する方法、主な勤務先の仕事内容・特徴などを詳しく解説します。
どこで働くかによって仕事内容が大きく異なるので、転職活動の際はそれぞれの特徴を理解することをおすすめします。
この記事では、保健師の概要や就職する方法、主な勤務先の仕事内容・特徴などを詳しく解説します。
保健師とはそもそもどんな仕事?どうすればなれるの?
保健師が働く場所について解説する前に、保健師の概要や看護師との違い、保健師になる方法について解説します。
保健師は、人々が心身共に健康な生活を送れるよう保健指導や健康に関する情報発信を通して、病気の予防や健康維持をサポートする専門職です。
厚生労働省が発表した「令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると、令和2年末時点で、保健師として働いている人の人数は5,595人、そのうち97.1%が女性です。
1993年の法改正で男性も保健師として働けるようになりましたが、女性の仕事というイメージが強いため、男性の保健師はまだまだ少数です。
保健師は、病気の予防に携わり、地域住民など幅広い人を支援する職業です。それに対し看護師は、病気になったりケガをしたりした患者を看護し、治療や回復をサポートします。
保健師は、看護師国家試験と保健師国家試験の両方に合格し、保健師免許を取得しないと就業できません。保健師国家資格の受験資格を得る方法は、看護師免許の有無によって大きく異なります。
・看護師免許を持っている
看護大学院の修士課程に進んで2年間の保健師養成課程で学ぶ、看護大学の3年次に編入して2年間の保健師養成課程で学ぶ、看護大学・短大の保健師専攻科または看護専門学校の保健師学科で1年以上学ぶといった方法があります。
・看護師免許を持っていない
4年制の看護学校や専門学校に進学し、選択制の保健師養成課程または保健師看護師統合カリキュラムで学びます。ただし選択制の場合、希望者数によっては選抜検査が行われるため、入学しても受験資格を得られないケースもあります。
(1)保健師の概要
保健師は、人々が心身共に健康な生活を送れるよう保健指導や健康に関する情報発信を通して、病気の予防や健康維持をサポートする専門職です。
厚生労働省が発表した「令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると、令和2年末時点で、保健師として働いている人の人数は5,595人、そのうち97.1%が女性です。
1993年の法改正で男性も保健師として働けるようになりましたが、女性の仕事というイメージが強いため、男性の保健師はまだまだ少数です。
(2)保健師と看護師の違い
保健師は、病気の予防に携わり、地域住民など幅広い人を支援する職業です。それに対し看護師は、病気になったりケガをしたりした患者を看護し、治療や回復をサポートします。
(3)保健師になる方法
保健師は、看護師国家試験と保健師国家試験の両方に合格し、保健師免許を取得しないと就業できません。保健師国家資格の受験資格を得る方法は、看護師免許の有無によって大きく異なります。
・看護師免許を持っている
看護大学院の修士課程に進んで2年間の保健師養成課程で学ぶ、看護大学の3年次に編入して2年間の保健師養成課程で学ぶ、看護大学・短大の保健師専攻科または看護専門学校の保健師学科で1年以上学ぶといった方法があります。
・看護師免許を持っていない
4年制の看護学校や専門学校に進学し、選択制の保健師養成課程または保健師看護師統合カリキュラムで学びます。ただし選択制の場合、希望者数によっては選抜検査が行われるため、入学しても受験資格を得られないケースもあります。
保健師が働く場所って?統計データを元に詳しく解説
「令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると、保健師の勤務先の割合は下記の通りです。
・市町村:54.8%
・保健所:15.3%
・都道府県:2.6%
・病院:6.4%
・診療所:4.1%
・事業所(企業):6.8%
・その他(介護保険施設など):10%
市町村・保健所・都道府県や自治体が管轄する保健所・保健センターといった行政機関で働く保健師が最も多く、全体の7割以上に達します。その他の働く場所としては、病院や診療所などの医療機関、一般企業などが挙げられます。
・市町村:54.8%
・保健所:15.3%
・都道府県:2.6%
・病院:6.4%
・診療所:4.1%
・事業所(企業):6.8%
・その他(介護保険施設など):10%
市町村・保健所・都道府県や自治体が管轄する保健所・保健センターといった行政機関で働く保健師が最も多く、全体の7割以上に達します。その他の働く場所としては、病院や診療所などの医療機関、一般企業などが挙げられます。
どの職場が向いている?保健師が働く場所別に仕事内容や特徴などを紹介
保健師の主な職場について、仕事内容や特徴を紹介します。
「保健センター」は、市町村や特別区が設置する施設です。自治体によっては、「保健事務所」や「保健相談所」と呼ばれる場合もあります。
保健センターで働く保健師は、妊婦や乳幼児、高齢者、障害者、成人など幅広い年齢・属性の地域住民を対象に、保健・福祉を総合的にサポートする役割を担う仕事です。
乳幼児健診の運営や子育てサポート、生活習慣病予防教室をはじめ、さまざまな支援や情報発信を行います。
自治体の職員として雇用されるため、安定した待遇のもと働けます。
保健所は、都道府県や特別区、法律で保健所を設置できる市と定められた「保健所政令市」が、設置する施設です。保健センターよりも広いエリアを担当し、専門性の高い業務を行っています。
保健師の主な仕事は、地域の健康の現状・課題をリサーチし、施策を立案・推進することです。難病患者や障害者の療養支援、感染症などの情報発信や相談、市町村の保健師のサポート・育成なども行っています。
公務員として働くため、手厚い福利厚生を受けられます。
医療機関で働く保健師は、「保健指導室」「地域医療連携室」などで活躍しています。
・保健指導室
生活習慣病など各種検診や人間ドックを担当し、検査結果に基づいて保健指導や健康教育を行い、健康を維持できるよう生活習慣の改善を支援します。さらに、医療機関の職員の健康支援も保健指導室の仕事です。
・地域医療連携室
地域医療連携室は、患者が地域で適切な医療を受けられるようサポートする部署です。医療機関内外の関係者と連携し、対象者の支援方針や支援案の検討・調整をしたり、患者や家族の相談に乗ってアドバイスを行なったりします。
・退院支援部署
在宅療養者とその家族が退院後も安心して療養生活を継続できるよう行政や訪問看護ステーションなどとの調整・相談や支援をしています。
その他、訪問看護ステーションで管理者や看護職員として在宅医療を支援するなど、さまざまな場面で活躍しています。
一般企業で働く保健師は「産業保健師」と呼ばれます。産業医や人事と連携し、従業員の心身の健康を支えます。
主な業務は、定期健診やメンタルヘルスチェックなどの実施・データ管理・分析、健診後のフォロー、生活習慣病や感染症に関する情報の周知、従業員からの健康相談、心療内科の紹介、休職・復職に関する相談などです。
働き方改革の推進や従業員のメンタルヘルスケアの重要性の高まりに伴い、産業保健師の重要性は増しています。
勤務先は主に大手企業で、福利厚生が充実しているケースが多いと考えられます。ただし、多くの企業では1〜2名しか保健師を採用しておらず、転職難易度が高い職場です。
保健師が働く福祉施設は大きく、高齢者が対象の施設と保育所や障がい者・小児の入所・通所施設など子どもが対象の施設があります。
・高齢者が対象の施設
「社会福祉協議会」「老人福祉センター」などがあります。主な仕事は、高齢者の健康増進活動やさまざまな相談、高齢者の家族のサポートなどです。介護施設で働く保健師は、利用者が要介護状態にならないよう健康管理や指導をしています。
・子どもが対象の施設
保育士や他の職員と連携し、子どもの健康・環境管理をします。また、近年は保健師を配置する児童相談所が増加傾向にあります。そのため、児童相談所では働く保健師は、虐待によるPTSDや障害のある子どものケアのために、関係機関への連絡・調整をします。
施設の運営元によって、待遇が大きく異なるのが特徴です。自治体が運営する施設で働く場合は、公務員として採用されます。
高齢者が住み慣れた地域で安心して生活を続けられるよう、医療・介護・介護予防・生活支援に関するサポートをトータルで実施するための施設です。
保健師は、社会福祉士やケアマネージャーなどと連携しながら、医療・介護に関する相談対応や自立支援、ケアプランの作成、介護予防マネジメントなどさまざまな業務を担当します。
場合によっては、地域住民を対象にした健康づくり教室の企画・開催や、1人暮らしの高齢者家庭の訪問なども行います。
地域包括支援センターで働く保健師も、運営元が自治体か、自治体から依頼を受けた民間かによって、待遇が大きく異なります。
(1)保健センター
「保健センター」は、市町村や特別区が設置する施設です。自治体によっては、「保健事務所」や「保健相談所」と呼ばれる場合もあります。
保健センターで働く保健師は、妊婦や乳幼児、高齢者、障害者、成人など幅広い年齢・属性の地域住民を対象に、保健・福祉を総合的にサポートする役割を担う仕事です。
乳幼児健診の運営や子育てサポート、生活習慣病予防教室をはじめ、さまざまな支援や情報発信を行います。
自治体の職員として雇用されるため、安定した待遇のもと働けます。
(2)保健所
保健所は、都道府県や特別区、法律で保健所を設置できる市と定められた「保健所政令市」が、設置する施設です。保健センターよりも広いエリアを担当し、専門性の高い業務を行っています。
保健師の主な仕事は、地域の健康の現状・課題をリサーチし、施策を立案・推進することです。難病患者や障害者の療養支援、感染症などの情報発信や相談、市町村の保健師のサポート・育成なども行っています。
公務員として働くため、手厚い福利厚生を受けられます。
(3)医療機関
医療機関で働く保健師は、「保健指導室」「地域医療連携室」などで活躍しています。
・保健指導室
生活習慣病など各種検診や人間ドックを担当し、検査結果に基づいて保健指導や健康教育を行い、健康を維持できるよう生活習慣の改善を支援します。さらに、医療機関の職員の健康支援も保健指導室の仕事です。
・地域医療連携室
地域医療連携室は、患者が地域で適切な医療を受けられるようサポートする部署です。医療機関内外の関係者と連携し、対象者の支援方針や支援案の検討・調整をしたり、患者や家族の相談に乗ってアドバイスを行なったりします。
・退院支援部署
在宅療養者とその家族が退院後も安心して療養生活を継続できるよう行政や訪問看護ステーションなどとの調整・相談や支援をしています。
その他、訪問看護ステーションで管理者や看護職員として在宅医療を支援するなど、さまざまな場面で活躍しています。
(4)一般企業
一般企業で働く保健師は「産業保健師」と呼ばれます。産業医や人事と連携し、従業員の心身の健康を支えます。
主な業務は、定期健診やメンタルヘルスチェックなどの実施・データ管理・分析、健診後のフォロー、生活習慣病や感染症に関する情報の周知、従業員からの健康相談、心療内科の紹介、休職・復職に関する相談などです。
働き方改革の推進や従業員のメンタルヘルスケアの重要性の高まりに伴い、産業保健師の重要性は増しています。
勤務先は主に大手企業で、福利厚生が充実しているケースが多いと考えられます。ただし、多くの企業では1〜2名しか保健師を採用しておらず、転職難易度が高い職場です。
(5)福祉施設
保健師が働く福祉施設は大きく、高齢者が対象の施設と保育所や障がい者・小児の入所・通所施設など子どもが対象の施設があります。
・高齢者が対象の施設
「社会福祉協議会」「老人福祉センター」などがあります。主な仕事は、高齢者の健康増進活動やさまざまな相談、高齢者の家族のサポートなどです。介護施設で働く保健師は、利用者が要介護状態にならないよう健康管理や指導をしています。
・子どもが対象の施設
保育士や他の職員と連携し、子どもの健康・環境管理をします。また、近年は保健師を配置する児童相談所が増加傾向にあります。そのため、児童相談所では働く保健師は、虐待によるPTSDや障害のある子どものケアのために、関係機関への連絡・調整をします。
施設の運営元によって、待遇が大きく異なるのが特徴です。自治体が運営する施設で働く場合は、公務員として採用されます。
(6)地域包括支援センター
高齢者が住み慣れた地域で安心して生活を続けられるよう、医療・介護・介護予防・生活支援に関するサポートをトータルで実施するための施設です。
保健師は、社会福祉士やケアマネージャーなどと連携しながら、医療・介護に関する相談対応や自立支援、ケアプランの作成、介護予防マネジメントなどさまざまな業務を担当します。
場合によっては、地域住民を対象にした健康づくり教室の企画・開催や、1人暮らしの高齢者家庭の訪問なども行います。
地域包括支援センターで働く保健師も、運営元が自治体か、自治体から依頼を受けた民間かによって、待遇が大きく異なります。
保健師が働く場所のトレンドって?注目されている分野を紹介
保健師が働く場所は、市町村・保健所・医療機関などさまざまです。近年特に保健師の活躍が期待されている分野について解説します。
従業員数50人以上の企業は、2015年から年に1回のストレスチェックが義務付けられています。
ストレスチェックは、従業員の業務量・周囲のサポート・心身の状態に関する質問への回答から、ストレスの度合いを測定する検査のことです。結果は医師や保健師から本人に直接知らされ、ストレスが深刻な場合は産業医との面談をすすめられます。
2025年3月14日の閣議決定により、従業員50人未満の小規模な企業にも義務付けられる予定です。
その背景には、長時間労働などが原因でうつ病をはじめとする精神疾患を患う労働者が増えているという事情があります。2023年の精神障害による労災支給決定は883件と、10年前の約2倍にのぼります。
保健師は、ストレスチェックの実施や本人への結果の通知、セルフケアの方法の提案、相談しやすく環境づくりなど、職場のメンタルヘルスケアにおいて重要な役割を担っています。
メンタルヘルスケアの重要性が高まるなか、高い専門性を持つ保健師のニーズはますます増加していくでしょう。
近年、地震や台風などの自然災害の増加に伴い、災害時の公衆衛生活動のスペシャリストとして、保健師が注目されています。
平常時から、地域住民の健康状態を把握し配慮が必要な人をリストアップしたり、避難計画の策定に関わったりすることで、災害に強い地域づくりに貢献します。
災害発生後は、医療救護活動・避難所での感染症予防などの健康管理・高齢者や妊婦など配慮が必要な人への支援・被災者のメンタルケアなど、保健師の専門性を活かし、幅広い活動が期待されています。
体制やマニュアルの整備を推進している自治体も多く、特に保健所や自治体で働く保健師にとって、災害保健活動の知識・技術はますます重要性を増していくでしょう。
学校保健師とは、学校に通う生徒や教職員の健康管理・維持を行う職種です。主な仕事は、生徒や教職員への保健指導や相談対応などのメンタルサポート、ケガや病気の応急処置です。
「保健の先生」と呼ばれる養護教諭も学校保健師と同様にケガや病気の応急処置をするため、混同されやすいですが、実は専門性が異なります。
学校保健師が予防医療を専門とする職業であるのに対し、養護教諭は保健や道徳の授業や遠足などの行事に同行し子どもたちの教育に携わる職業です。
教育現場における生徒の心身の健康課題は、年々多様化・複雑化しています。健康管理はもちろん、感染症対策や予防指導、特別な配慮が必要な生徒のサポートなど、学校保健師の重要性は年々増しています。
また、教職員の心身の健康管理を通して、欠勤や休職を防ぎ、安定した教育環境の維持につなげるのも重要な役割です。特に教職員のメンタルヘルスは教育現場で大きな課題となっており、学校保健師の活躍が期待されています。
デジタル技術の急速な進歩に伴い、医療業界でもITを活用したサービスが拡大しています。代表的な例として、オンライン診療やウェアラブルデバイス・スマートフォンアプリを活用した健康管理サービスなどがあります。そうしたITを活用したヘルスケアサービス開発において、保健師の専門性が必要とされています。
また、保健活動においてもデジタルデータやITツールの活用が推進されており、IT技術を活用して業務効率化や現状の見える化ができる保健師のニーズが高まっています。
保健師との専門性とITへの知見を掛け合わせることで、キャリアの可能性は大きく広がるでしょう。
統括保健師とは、自治体において保健師活動全体を統括・指導・調整する役割を担う保健師です。近年の複雑化・多様化する健康課題に対応するため、2013年に厚生労働省が「地域における保健師の保健活動について」において統括保健師の配置を明確に位置づけました。
統括保健師の主な役割は、組織横断的な保健活動の企画・立案や調整、保健師などスタッフからの相談への対応、所属組織での部署を越えた連絡調整・連携、健康課題の明確化、保健師の人材育成、働きやすい環境づくりです。
統括保健師が注目されている理由としては、新型コロナウイルス感染症対応や大規模災害の増加など、複雑な健康危機管理体制の構築が求められていることがあげられます。保健活動をするうえで、部署ごとに分散配置されている保健師同士の連携は不可欠です。統括保健師は、地域全体の健康水準の向上を図る調整役として重要視されています。
また、地域包括ケアシステムや地域共生社会の実現には、縦割り行政を超えた包括的な保健活動が不可欠となっており、統括的な視点を持つリーダーが必要とされています。
将来的には、高齢化などの人口構造の変化や健康課題の複雑化がさらに進むなかで、エビデンスに基づく効果的な保健施策の立案や、限られた人材の効率的な配置・活用のためにも、統括保健師が果たす役割はますます重要性になっていくでしょう。
(1)一般企業でのメンタルヘルスケア
従業員数50人以上の企業は、2015年から年に1回のストレスチェックが義務付けられています。
ストレスチェックは、従業員の業務量・周囲のサポート・心身の状態に関する質問への回答から、ストレスの度合いを測定する検査のことです。結果は医師や保健師から本人に直接知らされ、ストレスが深刻な場合は産業医との面談をすすめられます。
2025年3月14日の閣議決定により、従業員50人未満の小規模な企業にも義務付けられる予定です。
その背景には、長時間労働などが原因でうつ病をはじめとする精神疾患を患う労働者が増えているという事情があります。2023年の精神障害による労災支給決定は883件と、10年前の約2倍にのぼります。
保健師は、ストレスチェックの実施や本人への結果の通知、セルフケアの方法の提案、相談しやすく環境づくりなど、職場のメンタルヘルスケアにおいて重要な役割を担っています。
メンタルヘルスケアの重要性が高まるなか、高い専門性を持つ保健師のニーズはますます増加していくでしょう。
(2)災害保健活動
近年、地震や台風などの自然災害の増加に伴い、災害時の公衆衛生活動のスペシャリストとして、保健師が注目されています。
平常時から、地域住民の健康状態を把握し配慮が必要な人をリストアップしたり、避難計画の策定に関わったりすることで、災害に強い地域づくりに貢献します。
災害発生後は、医療救護活動・避難所での感染症予防などの健康管理・高齢者や妊婦など配慮が必要な人への支援・被災者のメンタルケアなど、保健師の専門性を活かし、幅広い活動が期待されています。
体制やマニュアルの整備を推進している自治体も多く、特に保健所や自治体で働く保健師にとって、災害保健活動の知識・技術はますます重要性を増していくでしょう。
(3)学校保健師
学校保健師とは、学校に通う生徒や教職員の健康管理・維持を行う職種です。主な仕事は、生徒や教職員への保健指導や相談対応などのメンタルサポート、ケガや病気の応急処置です。
「保健の先生」と呼ばれる養護教諭も学校保健師と同様にケガや病気の応急処置をするため、混同されやすいですが、実は専門性が異なります。
学校保健師が予防医療を専門とする職業であるのに対し、養護教諭は保健や道徳の授業や遠足などの行事に同行し子どもたちの教育に携わる職業です。
教育現場における生徒の心身の健康課題は、年々多様化・複雑化しています。健康管理はもちろん、感染症対策や予防指導、特別な配慮が必要な生徒のサポートなど、学校保健師の重要性は年々増しています。
また、教職員の心身の健康管理を通して、欠勤や休職を防ぎ、安定した教育環境の維持につなげるのも重要な役割です。特に教職員のメンタルヘルスは教育現場で大きな課題となっており、学校保健師の活躍が期待されています。
(4)デジタルヘルスケア分野
デジタル技術の急速な進歩に伴い、医療業界でもITを活用したサービスが拡大しています。代表的な例として、オンライン診療やウェアラブルデバイス・スマートフォンアプリを活用した健康管理サービスなどがあります。そうしたITを活用したヘルスケアサービス開発において、保健師の専門性が必要とされています。
また、保健活動においてもデジタルデータやITツールの活用が推進されており、IT技術を活用して業務効率化や現状の見える化ができる保健師のニーズが高まっています。
保健師との専門性とITへの知見を掛け合わせることで、キャリアの可能性は大きく広がるでしょう。
(5)統括保健師
統括保健師とは、自治体において保健師活動全体を統括・指導・調整する役割を担う保健師です。近年の複雑化・多様化する健康課題に対応するため、2013年に厚生労働省が「地域における保健師の保健活動について」において統括保健師の配置を明確に位置づけました。
統括保健師の主な役割は、組織横断的な保健活動の企画・立案や調整、保健師などスタッフからの相談への対応、所属組織での部署を越えた連絡調整・連携、健康課題の明確化、保健師の人材育成、働きやすい環境づくりです。
統括保健師が注目されている理由としては、新型コロナウイルス感染症対応や大規模災害の増加など、複雑な健康危機管理体制の構築が求められていることがあげられます。保健活動をするうえで、部署ごとに分散配置されている保健師同士の連携は不可欠です。統括保健師は、地域全体の健康水準の向上を図る調整役として重要視されています。
また、地域包括ケアシステムや地域共生社会の実現には、縦割り行政を超えた包括的な保健活動が不可欠となっており、統括的な視点を持つリーダーが必要とされています。
将来的には、高齢化などの人口構造の変化や健康課題の複雑化がさらに進むなかで、エビデンスに基づく効果的な保健施策の立案や、限られた人材の効率的な配置・活用のためにも、統括保健師が果たす役割はますます重要性になっていくでしょう。
これからの保健師に求められるスキルって?代表的なものを紹介
働く場所や今のトレンドを踏まえ、これからの保健師に求められる主なスキルを紹介します。
保健師は地域住民の健康課題に対応するため、医師や看護師、ソーシャルワーカー、栄養士、行政職員などさまざまな専門職と協働する必要があります。
スムーズに連携するには、各職種の専門性を理解し、相手の立場に配慮してやり取りをするコミュニケーション能力が不可欠です。
また、地域のネットワークを構築・維持し、適切なタイミングで必要な支援者を巻き込む調整力も求められます。特に事情が複雑なケースでは、各専門職の視点や意見を尊重しながら、住民を中心とした支援計画を立案・実行する能力が重要になります。
保健師はこの多職種との連携において中心的役割を担うことが多く、コミュニケーション能力が求められる場面が多いでしょう。
地域の健康課題を正しく把握し、効果的な施策を立案するためには、統計データの読み解きや分析が不可欠です。
具体的には、健康診断データ・地域の人口動態・事業評価に必要なデータといったデータを取り扱います。
得られたデータを有効活用するには、統計ソフトやデータベースの基本的な操作スキルも必要です。
管理職や統括保健師を目指すのであれば、プロジェクトや予算の管理・リーダーシップ・人材育成といったマネジメントスキルの習得が不可欠です。また、多職種との連携においても、マネジメントスキルを活用できます。
後輩の指導やプロジェクトリーダーなど実務を通して学ぶのはもちろん、職場で実施されるマネジメント研修に積極的に参加する・マネジメント関連の書籍を読むなど計画的に、マネジメントスキルを身につけましょう。
自然災害の増加を背景に災害時の保健活動が重要視されるようになるなど、保健師の仕事は、社会の変化に大きな影響を受けます。また、医学やIT技術の進歩の影響も大きい職業です。
そのため、保健師として長期的なキャリアを積むためには、時代に合わせた新たな知見・スキルを身につけるために、常に学び続ける姿勢が不可欠です。
日々の業務で多忙ななかで学び続けるのは、簡単ではありません。しかし、学ぶことが多くの人の健康を守ることにつながるため、やりがいも大きいといえるでしょう。
(1)多職種との連携に必要なコミュニケーション能力
保健師は地域住民の健康課題に対応するため、医師や看護師、ソーシャルワーカー、栄養士、行政職員などさまざまな専門職と協働する必要があります。
スムーズに連携するには、各職種の専門性を理解し、相手の立場に配慮してやり取りをするコミュニケーション能力が不可欠です。
また、地域のネットワークを構築・維持し、適切なタイミングで必要な支援者を巻き込む調整力も求められます。特に事情が複雑なケースでは、各専門職の視点や意見を尊重しながら、住民を中心とした支援計画を立案・実行する能力が重要になります。
保健師はこの多職種との連携において中心的役割を担うことが多く、コミュニケーション能力が求められる場面が多いでしょう。
(2)データ分析・活用能力
地域の健康課題を正しく把握し、効果的な施策を立案するためには、統計データの読み解きや分析が不可欠です。
具体的には、健康診断データ・地域の人口動態・事業評価に必要なデータといったデータを取り扱います。
得られたデータを有効活用するには、統計ソフトやデータベースの基本的な操作スキルも必要です。
(3)マネジメントスキル
管理職や統括保健師を目指すのであれば、プロジェクトや予算の管理・リーダーシップ・人材育成といったマネジメントスキルの習得が不可欠です。また、多職種との連携においても、マネジメントスキルを活用できます。
後輩の指導やプロジェクトリーダーなど実務を通して学ぶのはもちろん、職場で実施されるマネジメント研修に積極的に参加する・マネジメント関連の書籍を読むなど計画的に、マネジメントスキルを身につけましょう。
(4)常に学び続ける意欲
自然災害の増加を背景に災害時の保健活動が重要視されるようになるなど、保健師の仕事は、社会の変化に大きな影響を受けます。また、医学やIT技術の進歩の影響も大きい職業です。
そのため、保健師として長期的なキャリアを積むためには、時代に合わせた新たな知見・スキルを身につけるために、常に学び続ける姿勢が不可欠です。
日々の業務で多忙ななかで学び続けるのは、簡単ではありません。しかし、学ぶことが多くの人の健康を守ることにつながるため、やりがいも大きいといえるでしょう。
まとめ
保健師が働く場所は、市町村・保健所・都道府県などの行政機関、医療機関、一般企業などさまざまです。行政機関で働く保健師が最も多く、全体の7割以上にも達します。
保健師の業務で特に注目されている領域は、一般企業でのメンタルヘルスケアや災害保健活動などです。
どの職場でも人々の心身の健康維持をサポートするという点は共通していますが、具体的な仕事内容や待遇は働く場所によって異なります。転職活動の際は、それぞれの特徴をしっかり理解すると納得のいく職場を見つけられる可能性が高いでしょう。
多職種との連携に必要なコミュニケーション能力やデータ分析・活用能力などのスキルを伸ばすことで、キャリアの選択肢が広がります。
保健師は専門性が高い職業なので、一般的な転職サイトよりも医療業界専門の転職サイトの方が、求人が充実しています。特に産業保健師など求人の少ない職場を志望する場合は、医療業界専門の転職サイトを利用することをおすすめします。
保健師の業務で特に注目されている領域は、一般企業でのメンタルヘルスケアや災害保健活動などです。
どの職場でも人々の心身の健康維持をサポートするという点は共通していますが、具体的な仕事内容や待遇は働く場所によって異なります。転職活動の際は、それぞれの特徴をしっかり理解すると納得のいく職場を見つけられる可能性が高いでしょう。
多職種との連携に必要なコミュニケーション能力やデータ分析・活用能力などのスキルを伸ばすことで、キャリアの選択肢が広がります。
保健師は専門性が高い職業なので、一般的な転職サイトよりも医療業界専門の転職サイトの方が、求人が充実しています。特に産業保健師など求人の少ない職場を志望する場合は、医療業界専門の転職サイトを利用することをおすすめします。

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