在宅医療 転職前に知っておきたいこと|基本・デジタル化と働き方を解説
2023/03/14
2025/11/28
自宅などの生活の場にいながら医療を受けられる「在宅医療」は、高齢化の進行とともにニーズが急速に高まっています。厚生労働省の「令和2年(2020)患者調査」によると、在宅医療を受ける患者数は1999年の約6.9万人から、2017年には約18.0万人まで増加しており、今後も高齢化に伴い増えていくとみられます。
こうしたなかで、電子カルテやオンライン診療、訪問スケジュール最適化ツールなど、在宅医療の現場でもデジタル技術の導入が進みつつあります。在宅医療に関わる医師・看護師・リハビリ職などはもちろん、医療機器メーカーやITベンダー、製薬企業にとっても、在宅医療とデジタル化の知識は欠かせないテーマになっています。
本記事では、在宅医療の基本的な仕組みやデジタル化が進む背景・代表的な技術に加えて、「在宅医療 転職」を検討する方に向けて、在宅医療に関わる主な職場・職種、病院勤務との働き方の違い、転職時のチェックポイントを解説します。在宅医療分野でのキャリアを考えるうえでの入門ガイドとしてご活用ください。
こうしたなかで、電子カルテやオンライン診療、訪問スケジュール最適化ツールなど、在宅医療の現場でもデジタル技術の導入が進みつつあります。在宅医療に関わる医師・看護師・リハビリ職などはもちろん、医療機器メーカーやITベンダー、製薬企業にとっても、在宅医療とデジタル化の知識は欠かせないテーマになっています。
本記事では、在宅医療の基本的な仕組みやデジタル化が進む背景・代表的な技術に加えて、「在宅医療 転職」を検討する方に向けて、在宅医療に関わる主な職場・職種、病院勤務との働き方の違い、転職時のチェックポイントを解説します。在宅医療分野でのキャリアを考えるうえでの入門ガイドとしてご活用ください。
在宅医療ってそもそも何?基本的な知識を解説
在宅医療の概要や現状を解説します。
在宅 医療とは、病気・ケガ・加齢などが原因で身体が弱り、医療機関への通院が難しい患者が、自宅や高齢者向け施設をはじめとする生活の場にいながら定期的に医療を受けることを指します。
医師や看護師以外にも、歯科医師・薬剤師・管理栄養士・理学療法士・ケアマネージャー・ホームヘルパーなどの医療・介護職がチームとなり、診療計画を作成。定期的に生活の場を訪問し、診察・治療・健康管理・介護を行います。
在宅医療と同じく医師や看護師が患者を訪問して行う診療として「往診」がありますが、実は大きな違いがあります。在宅医療が診療計画に沿って定期的に訪問して医療を提供するのに対し、往診は患者や家族の要請によって訪問して医療を提供します。
在宅医療の対象となるのは下記のようなケースです。
・住み慣れた自宅での生活を希望している
・足腰が不自由になり1人で病院に行くのが難しい
・在宅で寝たきりになってしまった
・心臓や肺の病気により少し動くだけで息切れし通院が困難
・痛みや体力低下により通院が難しいがん患者の看取り
・医療ケアが必要な子ども
在宅医療には、住み慣れた場所で暮らせるため生活の質が向上する、食事など行動の制限が少なくストレスを軽減できる、付き添いなど通院に伴う家族の負担が少ないといったメリットがあります。
その反面、オーダーメイドで診療内容を決めるため迷いが生じる、受け入れてくれる医療機関が見つかりにくい場合がある、医師・看護師が不在の時間が長い、家族の看護・介護の負担が大きいなどデメリットも少なくありません。
在宅医療は、世界的にニーズが増している分野であり、民間調査では世界の在宅ヘルスケア市場は2023年時点で3,000億~4,000億米ドル(日本円で約50兆円超)の規模と推計されており、今後も拡大が予測されています。
日本でも在宅医療を受ける患者は増加傾向にあります。厚生労働省が公表した「令和5年(2023)患者調査の概況」によると、在宅医療を受けた推計外来患者数は1999年には69,500人でしたが、その後増加を続け、2017年には180,100人に達しました。2020年は173,600人と一時的に減少したものの、最新の2023年調査では239,000人と前回から大幅に増加しており、在宅医療のニーズが再び強まっていることが分かります。
高齢化の進行や「住み慣れた自宅で療養したい」というニーズ、地域包括ケアシステムの推進などを背景に、今後も在宅医療を必要とする患者数は中長期的にさらに増加していくと考えられます。
(1)在宅医療とは
在宅 医療とは、病気・ケガ・加齢などが原因で身体が弱り、医療機関への通院が難しい患者が、自宅や高齢者向け施設をはじめとする生活の場にいながら定期的に医療を受けることを指します。
医師や看護師以外にも、歯科医師・薬剤師・管理栄養士・理学療法士・ケアマネージャー・ホームヘルパーなどの医療・介護職がチームとなり、診療計画を作成。定期的に生活の場を訪問し、診察・治療・健康管理・介護を行います。
在宅医療と同じく医師や看護師が患者を訪問して行う診療として「往診」がありますが、実は大きな違いがあります。在宅医療が診療計画に沿って定期的に訪問して医療を提供するのに対し、往診は患者や家族の要請によって訪問して医療を提供します。
在宅医療の対象となるのは下記のようなケースです。
・住み慣れた自宅での生活を希望している
・足腰が不自由になり1人で病院に行くのが難しい
・在宅で寝たきりになってしまった
・心臓や肺の病気により少し動くだけで息切れし通院が困難
・痛みや体力低下により通院が難しいがん患者の看取り
・医療ケアが必要な子ども
在宅医療には、住み慣れた場所で暮らせるため生活の質が向上する、食事など行動の制限が少なくストレスを軽減できる、付き添いなど通院に伴う家族の負担が少ないといったメリットがあります。
その反面、オーダーメイドで診療内容を決めるため迷いが生じる、受け入れてくれる医療機関が見つかりにくい場合がある、医師・看護師が不在の時間が長い、家族の看護・介護の負担が大きいなどデメリットも少なくありません。
(2)在宅医療の現状
在宅医療は、世界的にニーズが増している分野であり、民間調査では世界の在宅ヘルスケア市場は2023年時点で3,000億~4,000億米ドル(日本円で約50兆円超)の規模と推計されており、今後も拡大が予測されています。
日本でも在宅医療を受ける患者は増加傾向にあります。厚生労働省が公表した「令和5年(2023)患者調査の概況」によると、在宅医療を受けた推計外来患者数は1999年には69,500人でしたが、その後増加を続け、2017年には180,100人に達しました。2020年は173,600人と一時的に減少したものの、最新の2023年調査では239,000人と前回から大幅に増加しており、在宅医療のニーズが再び強まっていることが分かります。
高齢化の進行や「住み慣れた自宅で療養したい」というニーズ、地域包括ケアシステムの推進などを背景に、今後も在宅医療を必要とする患者数は中長期的にさらに増加していくと考えられます。
超高齢化社会が背景?在宅医療のデジタル化が進んでいる理由とは
在宅医療のデジタル化が進んでいる主な背景を解説します。
日本は2025年には、全人口の25%が高齢者という超高齢化社会を迎えます。高齢者の占める割合が大きいと医療を必要とする人の割合も大きくなるため、在宅医療のニーズも高まるでしょう。
また、高齢者の「介護・医療が必要になっても自宅にいたい」という思いも、在宅医療のニーズの高さにつながっています。
内閣府が発表した「平成29年版高齢社会白書」によると、全国の55歳以上の男女を対象とした調査では、「介護が必要となった場合に介護を受けたい場所」という質問に対し、60歳以上では「自宅」を希望する人が最も多く、男性は42.2%、女性は30.2%という結果でした。
さらに、「治る見込みがない病気になった場合、最期はどこで迎えたいか」という質問に対して、最も多い54.6%が「自宅」と回答しています。
しかし、医療従事者のリソースや医療費は無限ではありません。在宅医療をデジタル化し効率を上げることで、負担をおさえつつ充分な医療を提供できると期待されています。
近年の、AI・VR・ウェアラブルデバイスといったデジタル技術の進歩は目覚ましいものがあります。多くの業界でデジタル化が急速に進んでいますが、医療業界も例外ではありません。
遠方の患者と医師をつなぐオンライン診療やAIを活用した画像診断など、いろいろな場面でデジタル化が行われています。それに伴い、在宅医療にもデジタル技術が積極的に導入されるでしょう。
住み慣れた自宅で最期を迎えたいという高齢者の意向や現役世代の減少を背景に、国は医療を提供する場を、これまでの病院から在宅へと切り替えようとしています。
在宅医療推進のための制度の整備にも注力しており、なかでも重要なのが「地域包括ケアシステム」です。地域包括ケアシステムとは、地域の実情に即した医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に供給される体制のことです。
地域包括ケアシステムでは、各医療機関や行政機関などがしっかり情報連携する必要があります。情報連携するうえで大切なのが、情報通信技術を活用したコミュニケーションである「ICT」の推進などのデジタル化です。
地域包括ケアシステムの実現に向けた国の後押しにより、在宅医療のデジタル化が加速する可能性もあるでしょう。
(1)高齢化により在宅医療のニーズが高まっている
日本は2025年には、全人口の25%が高齢者という超高齢化社会を迎えます。高齢者の占める割合が大きいと医療を必要とする人の割合も大きくなるため、在宅医療のニーズも高まるでしょう。
また、高齢者の「介護・医療が必要になっても自宅にいたい」という思いも、在宅医療のニーズの高さにつながっています。
内閣府が発表した「平成29年版高齢社会白書」によると、全国の55歳以上の男女を対象とした調査では、「介護が必要となった場合に介護を受けたい場所」という質問に対し、60歳以上では「自宅」を希望する人が最も多く、男性は42.2%、女性は30.2%という結果でした。
さらに、「治る見込みがない病気になった場合、最期はどこで迎えたいか」という質問に対して、最も多い54.6%が「自宅」と回答しています。
しかし、医療従事者のリソースや医療費は無限ではありません。在宅医療をデジタル化し効率を上げることで、負担をおさえつつ充分な医療を提供できると期待されています。
(2)デジタル化が急速に進んでいるから
近年の、AI・VR・ウェアラブルデバイスといったデジタル技術の進歩は目覚ましいものがあります。多くの業界でデジタル化が急速に進んでいますが、医療業界も例外ではありません。
遠方の患者と医師をつなぐオンライン診療やAIを活用した画像診断など、いろいろな場面でデジタル化が行われています。それに伴い、在宅医療にもデジタル技術が積極的に導入されるでしょう。
(3)国の後押しがあるから
住み慣れた自宅で最期を迎えたいという高齢者の意向や現役世代の減少を背景に、国は医療を提供する場を、これまでの病院から在宅へと切り替えようとしています。
在宅医療推進のための制度の整備にも注力しており、なかでも重要なのが「地域包括ケアシステム」です。地域包括ケアシステムとは、地域の実情に即した医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に供給される体制のことです。
地域包括ケアシステムでは、各医療機関や行政機関などがしっかり情報連携する必要があります。情報連携するうえで大切なのが、情報通信技術を活用したコミュニケーションである「ICT」の推進などのデジタル化です。
地域包括ケアシステムの実現に向けた国の後押しにより、在宅医療のデジタル化が加速する可能性もあるでしょう。
在宅医療を支えるデジタル技術はどんなもの?代表的なものを紹介
在宅医療を支えるデジタル技術のうち、代表的なものを紹介します。
「電子カルテ」とは、これまで紙のカルテに記載していた医療情報を電子データとして記録・管理できるシステムです。
クラウド型電子カルテはスマートフォンやタブレットなどの端末でどこからでも使用でき、リアルタイムで情報を確認・共有できます。患者の生活の場を訪問し、医療を提供する在宅医療と相性がよく、大幅な効率改善につながります。
従来は装置を使った検査は医療機関で受けるものというのが常識でしたが、小型のレントゲン装置やエコー装置を使い患者の自宅などで検査を行い、ノートパソコンで画像を確認できるようになりました。
在宅医療では病院と比べて検査の手段が限られていますが、持ち運びのできる検査装置を使えば、的確かつスピーディーな診療ができます。
在宅医療の効率化には、訪問スケジュールの管理が非常に重要です。訪問スケジュールを最適化することで、無駄なく業務を進められ医療機関の経営改善につながります。
株式会社ゼストが提供するクラウドサービス『ZEST』は、スケジュールや訪問ルートの自動化に加えて、訪問希望時間や職員の性別、医療スタッフのスキルといった事情を考慮して全体を最適化する機能を備えています。
(1)電子カルテ
「電子カルテ」とは、これまで紙のカルテに記載していた医療情報を電子データとして記録・管理できるシステムです。
クラウド型電子カルテはスマートフォンやタブレットなどの端末でどこからでも使用でき、リアルタイムで情報を確認・共有できます。患者の生活の場を訪問し、医療を提供する在宅医療と相性がよく、大幅な効率改善につながります。
(2)ポータルブルレントゲンなどの小型の検査機器
従来は装置を使った検査は医療機関で受けるものというのが常識でしたが、小型のレントゲン装置やエコー装置を使い患者の自宅などで検査を行い、ノートパソコンで画像を確認できるようになりました。
在宅医療では病院と比べて検査の手段が限られていますが、持ち運びのできる検査装置を使えば、的確かつスピーディーな診療ができます。
(3)訪問スケジュールを最適化するサービス
在宅医療の効率化には、訪問スケジュールの管理が非常に重要です。訪問スケジュールを最適化することで、無駄なく業務を進められ医療機関の経営改善につながります。
株式会社ゼストが提供するクラウドサービス『ZEST』は、スケジュールや訪問ルートの自動化に加えて、訪問希望時間や職員の性別、医療スタッフのスキルといった事情を考慮して全体を最適化する機能を備えています。
在宅医療に関わる主な職場・職種
在宅医療は、医師や看護師だけで成り立つわけではありません。患者さんの生活の場で医療・介護を提供するために、多職種が連携しながら支えているのが特徴です。
ここでは、在宅医療に関わる主な職場・職種のイメージを整理します。
在宅医療の中心となるのは、在宅療養支援診療所や訪問診療クリニックなどに所属する医師・看護師です。
医師は定期的な訪問診療や急変時対応を担い、看護師はバイタルチェック、服薬状況の確認、医療処置、家族への指導などを通じて、患者さんの生活と治療をトータルに支えます。
また、在宅療養支援病院や地域の中核病院が、入院治療と在宅医療の“ハブ”となり、入退院の調整や急変時のバックアップを担うケースも増えています。病棟経験を活かしながら、地域全体の療養を支える役割を担えるのが特徴です。
在宅医療では、訪問看護師・理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)・薬剤師・管理栄養士・医療ソーシャルワーカー・ケアマネジャー・ホームヘルパーなど、医療・介護の幅広い専門職がチームを組みます。
訪問看護ステーション
退院直後から看取りまで、患者さん宅を定期的に訪問し、医療処置や状態観察、生活指導を実施。
訪問リハビリ
自宅での日常生活を送るために必要な動作訓練や環境調整を行い、「その人らしい生活」を支援。
薬局・在宅対応薬剤師
服薬指導や残薬確認、相互作用チェックを行い、在宅での安全な薬物療法を支えます。
このように、在宅医療の現場では病院以上にチーム連携が重要であり、「患者さんとご家族の生活を中心に考える」という共通の視点が求められます。
在宅医療の拡大とデジタル化に伴い、医療機器メーカー・ITベンダー・製薬企業など「企業側」で在宅医療を支える仕事も増えています。
例えば、次のような職種が挙げられます。
●ポータブルレントゲンや在宅向けエコー装置などの医療機器営業・アプリケーションスペシャリスト
●在宅向け電子カルテやスケジュール管理システムなどの医療ITエンジニア・導入コンサルタント
●在宅領域の治療薬やデジタルヘルス製品を扱う製薬企業のMR・メディカル担当
在宅医療の現場を理解し、デジタル技術や医療機器をどのように組み合わせれば現場の負担軽減につながるかを提案できる人材のニーズは、今後さらに高まると考えられます。
ここでは、在宅医療に関わる主な職場・職種のイメージを整理します。
在宅医療の現場で働く医師・看護師など医療職
在宅医療の中心となるのは、在宅療養支援診療所や訪問診療クリニックなどに所属する医師・看護師です。
医師は定期的な訪問診療や急変時対応を担い、看護師はバイタルチェック、服薬状況の確認、医療処置、家族への指導などを通じて、患者さんの生活と治療をトータルに支えます。
また、在宅療養支援病院や地域の中核病院が、入院治療と在宅医療の“ハブ”となり、入退院の調整や急変時のバックアップを担うケースも増えています。病棟経験を活かしながら、地域全体の療養を支える役割を担えるのが特徴です。
訪問看護・リハビリ・介護職などの多職種連携
在宅医療では、訪問看護師・理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)・薬剤師・管理栄養士・医療ソーシャルワーカー・ケアマネジャー・ホームヘルパーなど、医療・介護の幅広い専門職がチームを組みます。
訪問看護ステーション
退院直後から看取りまで、患者さん宅を定期的に訪問し、医療処置や状態観察、生活指導を実施。
訪問リハビリ
自宅での日常生活を送るために必要な動作訓練や環境調整を行い、「その人らしい生活」を支援。
薬局・在宅対応薬剤師
服薬指導や残薬確認、相互作用チェックを行い、在宅での安全な薬物療法を支えます。
このように、在宅医療の現場では病院以上にチーム連携が重要であり、「患者さんとご家族の生活を中心に考える」という共通の視点が求められます。
在宅医療を支える企業側の仕事(医療機器・IT・製薬など)
在宅医療の拡大とデジタル化に伴い、医療機器メーカー・ITベンダー・製薬企業など「企業側」で在宅医療を支える仕事も増えています。
例えば、次のような職種が挙げられます。
●ポータブルレントゲンや在宅向けエコー装置などの医療機器営業・アプリケーションスペシャリスト
●在宅向け電子カルテやスケジュール管理システムなどの医療ITエンジニア・導入コンサルタント
●在宅領域の治療薬やデジタルヘルス製品を扱う製薬企業のMR・メディカル担当
在宅医療の現場を理解し、デジタル技術や医療機器をどのように組み合わせれば現場の負担軽減につながるかを提案できる人材のニーズは、今後さらに高まると考えられます。
在宅医療への転職が注目される理由
「在宅医療 転職」に関心を持つ人が増えている背景には、中長期的なニーズの伸びと、働き方・やりがいの特徴があります。
厚生労働省の「患者調査」によると、在宅医療を受ける患者は1990年代末には約7万人程度でしたが、その後一貫して増加し、2010年代には約18万人規模となりました。2020年調査では新型コロナの影響もあり一時的に減少したものの、最新の令和5年(2023年)患者調査では、調査日に在宅医療を受けた推計外来患者数は約23.9万人と報告されています。
高齢化の進行や在宅医療推進の政策を踏まえると、今後も在宅医療の需要は増加傾向で推移すると考えられます。
一方、内閣府「令和元年版高齢社会白書」では、60歳以上の約半数(51.0%)が「治る見込みがない病気になった場合、最期は自宅で迎えたい」と回答しており、住み慣れた自宅での療養・看取りを望む人が多いことが分かります。
こうしたニーズを受けて、厚生労働省は「地域包括ケアシステム」の構築や「在宅医療の推進」に関する施策を進めており、在宅医療を支える人材の確保・育成が重要なテーマとなっています。
政策と生活者ニーズの両面から、在宅医療従事者への需要は中長期的に高い状態が続くと考えられます。
在宅医療の働き方には、病院勤務と比べて次のような特徴があります。
●患者さんの生活の場に入り、一人ひとりの背景まで含めて関わる
●病棟のようなモニター・機器に頼らず、目の前の状態観察や家族の声から総合的に判断する場面が多い
●終末期医療や看取りに関わる機会も多く、人生に深く寄り添うやりがいがある
●訪問件数やエリアによっては、車や自転車での移動が多くなる
一方で、24時間対応の在宅診療所などではオンコール体制が敷かれており、夜間・休日の呼び出しが発生する可能性もあります。日勤中心で働きやすい職場もあれば、急変時対応の負荷が高い環境もあるため、職場ごとの体制を事前に確認することが重要です。
在宅医療への転職を考える際は、「自分に向いているか」をイメージしておくことも大切です。
向いている傾向がある人
●患者さんやご家族とじっくり対話しながら関係を築くことが好き
●病棟での急性期経験を活かしながら、より生活に近い場で支援したい
●困りごとを見つけ、自分で考えて解決策を提案するのが得意
●多職種チームで協力しながら仕事を進めるのが好き
向いていない可能性がある人
●一人での判断や訪問が不安で、常に近くに医師や他スタッフがいてほしい
●移動の多い働き方が身体的に厳しい
●終末期や看取りの場面に関わることに強い抵抗感がある
もちろん、経験を重ねるなかで感じ方が変わることもありますが、自分の価値観やライフスタイルと照らし合わせながら検討してみるとよいでしょう。
高齢化と国の方針による中長期的なニーズの伸び
厚生労働省の「患者調査」によると、在宅医療を受ける患者は1990年代末には約7万人程度でしたが、その後一貫して増加し、2010年代には約18万人規模となりました。2020年調査では新型コロナの影響もあり一時的に減少したものの、最新の令和5年(2023年)患者調査では、調査日に在宅医療を受けた推計外来患者数は約23.9万人と報告されています。
高齢化の進行や在宅医療推進の政策を踏まえると、今後も在宅医療の需要は増加傾向で推移すると考えられます。
一方、内閣府「令和元年版高齢社会白書」では、60歳以上の約半数(51.0%)が「治る見込みがない病気になった場合、最期は自宅で迎えたい」と回答しており、住み慣れた自宅での療養・看取りを望む人が多いことが分かります。
こうしたニーズを受けて、厚生労働省は「地域包括ケアシステム」の構築や「在宅医療の推進」に関する施策を進めており、在宅医療を支える人材の確保・育成が重要なテーマとなっています。
政策と生活者ニーズの両面から、在宅医療従事者への需要は中長期的に高い状態が続くと考えられます。
病院勤務と比べた在宅医療の働き方の特徴
在宅医療の働き方には、病院勤務と比べて次のような特徴があります。
●患者さんの生活の場に入り、一人ひとりの背景まで含めて関わる
●病棟のようなモニター・機器に頼らず、目の前の状態観察や家族の声から総合的に判断する場面が多い
●終末期医療や看取りに関わる機会も多く、人生に深く寄り添うやりがいがある
●訪問件数やエリアによっては、車や自転車での移動が多くなる
一方で、24時間対応の在宅診療所などではオンコール体制が敷かれており、夜間・休日の呼び出しが発生する可能性もあります。日勤中心で働きやすい職場もあれば、急変時対応の負荷が高い環境もあるため、職場ごとの体制を事前に確認することが重要です。
在宅医療に向いている人・向かない人の傾向
在宅医療への転職を考える際は、「自分に向いているか」をイメージしておくことも大切です。
向いている傾向がある人
●患者さんやご家族とじっくり対話しながら関係を築くことが好き
●病棟での急性期経験を活かしながら、より生活に近い場で支援したい
●困りごとを見つけ、自分で考えて解決策を提案するのが得意
●多職種チームで協力しながら仕事を進めるのが好き
向いていない可能性がある人
●一人での判断や訪問が不安で、常に近くに医師や他スタッフがいてほしい
●移動の多い働き方が身体的に厳しい
●終末期や看取りの場面に関わることに強い抵抗感がある
もちろん、経験を重ねるなかで感じ方が変わることもありますが、自分の価値観やライフスタイルと照らし合わせながら検討してみるとよいでしょう。
在宅医療分野への転職の進め方と職場選びのポイント
在宅医療への転職では、「どのような職場で・どのような体制のもとで働くか」によって、働き方や感じるやりがいが大きく変わります。ここでは、求人を見るときにチェックしておきたいポイントと、未経験からチャレンジする際の進め方をまとめます。
在宅医療の求人を検討する際は、次のような点を確認しておくと安心です。
●職場の種類
在宅療養支援診療所なのか、訪問診療クリニックなのか、訪問看護ステーションなのか、病院の在宅部門なのか
●対象となる患者層・疾患
高齢者中心か、小児・難病・がん終末期などの比率はどうか
●一日の訪問件数・担当件数
1件あたりにかけられる時間や移動距離の目安を確認
●オンコール・夜間対応の有無や回数
当番制か、別部署が対応するのか、実際の呼び出し頻度はどのくらいか
●多職種カンファレンスや情報共有の体制
定期的なカンファレンスがあるか、電子カルテやICTツールでの情報共有が整っているか
●教育・サポート体制
未経験者にはどのくらい同行訪問期間があるか、研修や勉強会はあるか
可能であれば、応募前〜選考中に職場見学や同行訪問の機会をもらえるか相談し、実際の雰囲気や働き方を体感しておくと、入社後のギャップを減らせます。
在宅医療未経験の方が転職を考える場合は、次のようなステップで準備を進めるのがおすすめです。
●在宅医療の基本・制度を理解する
厚生労働省の「在宅医療の推進について」や普及・啓発リーフレットなどを確認し、在宅医療がどのような位置づけで推進されているのかを把握します。
●自分の経験が活かせるポジションを整理する
病棟経験、救急・急性期、慢性期、外来、訪問看護など、これまでのキャリアのどの部分が在宅医療と相性が良いかを棚卸しします。
●在宅医療に詳しい転職エージェントに相談する
在宅医療の求人は、診療所・訪問看護ステーション・企業側など幅広いため、医療業界に特化したエージェントに相談し、求人情報や職場のリアルな情報を集めるとミスマッチを防ぎやすくなります。
●興味のある領域で情報収集を続ける
在宅医療や地域包括ケア、医療DX・デジタルヘルスに関するニュースや学会報告、コラムを定期的にチェックし、面接でも話せる知識・関心を深めておきましょう。
在宅医療は、医療と生活をつなぐやりがいの大きな分野です。焦って決めるのではなく、自分に合った職場・ポジションを見極めながら、じっくり準備を進めることが大切です。
求人・職場を選ぶときにチェックしたいポイント
在宅医療の求人を検討する際は、次のような点を確認しておくと安心です。
●職場の種類
在宅療養支援診療所なのか、訪問診療クリニックなのか、訪問看護ステーションなのか、病院の在宅部門なのか
●対象となる患者層・疾患
高齢者中心か、小児・難病・がん終末期などの比率はどうか
●一日の訪問件数・担当件数
1件あたりにかけられる時間や移動距離の目安を確認
●オンコール・夜間対応の有無や回数
当番制か、別部署が対応するのか、実際の呼び出し頻度はどのくらいか
●多職種カンファレンスや情報共有の体制
定期的なカンファレンスがあるか、電子カルテやICTツールでの情報共有が整っているか
●教育・サポート体制
未経験者にはどのくらい同行訪問期間があるか、研修や勉強会はあるか
可能であれば、応募前〜選考中に職場見学や同行訪問の機会をもらえるか相談し、実際の雰囲気や働き方を体感しておくと、入社後のギャップを減らせます。
未経験から在宅医療にチャレンジするステップ
在宅医療未経験の方が転職を考える場合は、次のようなステップで準備を進めるのがおすすめです。
●在宅医療の基本・制度を理解する
厚生労働省の「在宅医療の推進について」や普及・啓発リーフレットなどを確認し、在宅医療がどのような位置づけで推進されているのかを把握します。
●自分の経験が活かせるポジションを整理する
病棟経験、救急・急性期、慢性期、外来、訪問看護など、これまでのキャリアのどの部分が在宅医療と相性が良いかを棚卸しします。
●在宅医療に詳しい転職エージェントに相談する
在宅医療の求人は、診療所・訪問看護ステーション・企業側など幅広いため、医療業界に特化したエージェントに相談し、求人情報や職場のリアルな情報を集めるとミスマッチを防ぎやすくなります。
●興味のある領域で情報収集を続ける
在宅医療や地域包括ケア、医療DX・デジタルヘルスに関するニュースや学会報告、コラムを定期的にチェックし、面接でも話せる知識・関心を深めておきましょう。
在宅医療は、医療と生活をつなぐやりがいの大きな分野です。焦って決めるのではなく、自分に合った職場・ポジションを見極めながら、じっくり準備を進めることが大切です。
まとめ
在宅医療は、自宅や高齢者向け施設といった生活の場に医師・看護師などが定期的に訪問し、診察・治療・健康管理・介護を行う医療の形です。高齢化の進行や「自宅で最期を迎えたい」というニーズの高まり、国による在宅医療推進の方針もあり、今後も在宅医療のニーズは増加すると見込まれています
さらに、電子カルテやオンライン診療、小型検査機器、訪問スケジュール最適化サービスなど、在宅医療を支えるデジタル技術も続々と登場しています。これらをうまく活用することで、医療従事者の負担軽減や業務効率化、医療の質向上が期待されています。
在宅医療の現場では、医師・看護師だけでなく、訪問看護師・リハビリ職・薬剤師・ケアマネジャーなど多職種がチームで連携しています。また、医療機器メーカーやITベンダー、製薬企業など、在宅医療を支える企業側でも人材ニーズが高まっています。中長期的なニーズの伸びややりがいの大きさから、「在宅医療 転職」を検討する医療従事者や医療関連企業で働く方も増えています。
在宅医療分野への転職を考える際は、職場の種類や対象患者、オンコール体制、多職種連携の仕組み、教育体制などをしっかり確認し、自分の価値観や生活とのバランスに合った環境を選ぶことが重要です。医療業界に特化した転職サイトやエージェントを活用して、在宅医療やデジタルヘルスに強みを持つ企業・医療機関の情報を収集しながら、理想のキャリアを具体的に描いていきましょう。
さらに、電子カルテやオンライン診療、小型検査機器、訪問スケジュール最適化サービスなど、在宅医療を支えるデジタル技術も続々と登場しています。これらをうまく活用することで、医療従事者の負担軽減や業務効率化、医療の質向上が期待されています。
在宅医療の現場では、医師・看護師だけでなく、訪問看護師・リハビリ職・薬剤師・ケアマネジャーなど多職種がチームで連携しています。また、医療機器メーカーやITベンダー、製薬企業など、在宅医療を支える企業側でも人材ニーズが高まっています。中長期的なニーズの伸びややりがいの大きさから、「在宅医療 転職」を検討する医療従事者や医療関連企業で働く方も増えています。
在宅医療分野への転職を考える際は、職場の種類や対象患者、オンコール体制、多職種連携の仕組み、教育体制などをしっかり確認し、自分の価値観や生活とのバランスに合った環境を選ぶことが重要です。医療業界に特化した転職サイトやエージェントを活用して、在宅医療やデジタルヘルスに強みを持つ企業・医療機関の情報を収集しながら、理想のキャリアを具体的に描いていきましょう。

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