海外のヘルステックの現状って?注目企業も合わせて紹介

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海外のヘルステックの現状って?注目企業も合わせて紹介

ヘルステックとは、「Health(健康)」と「Tech(テクノロジー)」を組み合わせた造語で、AIやアプリケーションをはじめとする最先端のテクノロジーを活用し、治療効果や医療の生産性を高め、医療が抱える課題を解決することを指します。

世界的に見てもヘルステックにビジネスチャンスを見出し、注力している企業は多数存在します。この記事では、海外のヘルステックの現状を具体的な事例を交えわかりやすくまとめました。

アメリカが市場をリード!海外のヘルステック事情を解説

アメリカが市場をリード!海外のヘルステック事情を解説
世界 のヘルステック市場は、アメリカがリードしており、大手テック系企業から注目のスタートアップまで幅広い企業が参入しています。

2019年に京都府立医科大学が発表した『医療におけるITヘルステック市場の成長とトレンド』によると、アメリカのヘルスケア市場は3兆ドル規模といわれています。健康志向の高まりや新型コロナウイルスの感染拡大などが後押しとなり、さらに市場規模は拡大していくでしょう。

アメリカ以外の海外の国々でもヘルステック市場が拡大しており、グローバルで見るとさらに大規模だと考えられます。

例えば、イスラエルでは遠隔診療に必要なデータを取得するデバイスや服薬の時間を知らせてくれるアプリが開発されています。

フィンランドでは、がん患者の退院後の生活をフォローする人工知能システムやアプリ、睡眠サイクルを管理するアプリなど、健康的な毎日を送るためのシステムが普及しつつあります。

ヘルステックで注目すべきジャンルって?代表的な領域を紹介

ヘルステックで注目すべきジャンルって?代表的な領域を紹介
ヘ ルステックのなかでも、参入する企業が増えている、投資が活発に行われているなど、特に注目すべきジャンルについて紹介します。

(1)フェムテック領域
「フェムテ ック」とは、生理痛の緩和や月経サイクルの予測、不妊対策など、女性が抱える特有の健康課題をヘルステックの力で解決する領域です。

世界最大級のベンチャーデータベース『Crunchbase』によると、米国の女性関連の医療技術を取り扱う新興企業への投資額は、2019年は6億2500万ドル、2020年は10億2300万ドルと急速に増加しています。

未上場のベンチャー企業に投資するベンチャーキャピタルに携わる女性が増えたのも、フェムテック領域が成長している理由かもしれません。

(2)高齢者の健康増進
これまで高齢者はITリテラシーが低い人が多く、ヘルステックでのアプローチが難しいと考えられていました。しかし、高齢者のインターネット人口が増え、現在はITに苦手意識を持たない人も少なくありません。

アメリカでは高齢者に特化したオンラインサービスが増加しており、対面診療とヘルステックを掛け合わせたサービスも登場しています。

(3)遺伝子治療
2017年にアメリカのFDAが遺伝性網膜ジストロフィーの治療薬として、遺伝子治療薬を初めて承認したのがきっかけで遺伝子治療関係のスタートアップへの投資が活性化しています。

これまで4つの遺伝子治療薬が承認されており、2020年にはCRISPR/Cas9を用いた遺伝子編集技術にノーベル化学賞が授与されています。また、新型コロナウイルの遺伝子を利用した「RNAワクチン」が普及したなど、遺伝子治療市場に追い風が吹いています。

(4)メンタルヘルス
新型コロナウイルスの感染拡大に対する不安やうつなど、メンタルヘルスに悩む人の増加に伴い、モバイルアプリなどを通して医学的なエビデンスに基づいた治療を患者に届ける「デジタルセラピューティクス」を利用したメンタルヘルスケアに注目が集まっています。

また、従業員のメンタルヘルスの状態がパフォーマンスに大きく影響すると考え、メンタルヘルスケアサービスを導入する企業も増え、これからの成長が期待される領域です。

海外のヘルステックを知るうえでチェックすべき事例4選

海外のヘルステックを知るうえでチェックすべき事例4選
海外のヘルステックの事例のうち、特に注目すべきものを4つ紹介します。

(1)LunaJoy(アメリカ)
2022 年3月8日、国際女性デーにローンチされたばかりのフロリダ発・女性向けメンタルヘルスサービスです。

幅広い年代とライフステージの女性を対象としており、悩みを解消したり和らげたりするために、オンラインコーチングや24時間・365日ヘルスケアチームにオンライン上で相談できるサービスなどを提供しています。

悩みごとに細かくメニューがわかれているため、具体的な悩みに応じたカウンセリングを受けられる。投薬が必要な場合は遺伝子検査の結果に基づいて厳選された薬を処方してもらえるといった特徴があります。カウンセラーは女性のメンタルケアを専門としており、メンタルヘルスに悩む人にとって心強いサービスといえるでしょう。

(2)Paige(アメリカ)
『Paige 』は、癌のAIベースデジタル診断を実現した企業です。PaigeのAIは世界中の専門家たちの長年にわたる癌の診断、および研究データに基づいたものです。

精度の高いデジタル診断と予測検査を病理学者・研究者・ケアチームに提供することで、医療従事者の診断をサポートし、患者の健康に貢献します。がん診断に確信をもたらす技術として、大いに期待されています。

(3)Alfie(アメリカ)
『Alfie』は 、減量・健康維持を遠隔サポートする男性向けサービスです。アメリカでは肥満が大きな社会問題となっており、太りすぎによる心筋梗塞やがんで多くの人が命を落としています。アメリカ人の死亡理由の13%は、BMI25以上の肥満に起因しているといわれるほどです。

『Alfie』を利用すると、FDA承認薬の処方や減量をマンツーマンでサポートするヘルスコーチの利用が可能となり、減量に取り組む他のメンバーとのコミュニティへの参加など、総合的な支援を受けられます。

『Alfie』の特徴は男性に特化したダイエットプログラムを提供する点です。男性は筋肉質な身体を好み、食事をしっかりとりやせすぎないダイエットを好みます。これまでのダイエットサポートは、女性向けのものが多く、男性が利用しても成果につながりにくいケースも欲見られまました。『Alfie』はそういった欠点をカバーし、肥満による疾患の予防になると期待されています。

(4)ニューロブロック(台湾)
ヘ ルステック分野で先進的なサービスを展開しているのは、アメリカの企業だけではありません。代表的なプロダクトが、台湾のGimer Medicalが開発した『ニューロブロック』です。

世界中に約5,000万人の患者がいるとされている、背中の痛みを持つ人向けの治療器です。慢性の背中の痛みを治療する方法は、薬剤による痛みの抑制や手術などさまざまなものがあります。『ニューロブロック』は1960年代に開発された「SCS(脊髄刺激療法)」を、進化させた画期的なものです。

SCSのメカニズムは電流による刺激で痛みを和らげるというものですが、『ニューブロック』は従来よりもコストを大幅に削減し、幅広い人が利用しやすいように改良した製品です。

まとめ

まとめ
ヘルステックは、最先端のテクノロジーと医療を組み合わせてさまざまなヘルスケア領域の課題を解消することを指します。

2019年時点でアメリカのヘルステック市場は3兆ドルともいわれ、健康志向の高まりや新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、さらに市場規模は拡大していくでしょう。

なかでも、フェムテックや高齢者の健康増進、遺伝子治療は大きな注目を浴びています。

海外のみならず日本のヘルステック市場は拡大傾向にあるため、伸び盛りの領域で力を活躍したい人はヘルステックに力を入れている企業への転職がおすすめです。

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