「臨床検査技師には将来性がない」って本当?キャリアアップの方法はあるの?
2024/02/28
2024/02/28
臨床検査技師は、患者の治療や健康維持に欠かせない検査を行う専門職です。しかし、検査プロセスの機械化などにより「将来性がない」と言われることもあります。
この記事では、臨床検査技師の将来性やキャリアアップの方法について解説します。臨床検査技師としての将来に不安を持つ方は、ぜひ参考にしてください。
この記事では、臨床検査技師の将来性やキャリアアップの方法について解説します。臨床検査技師としての将来に不安を持つ方は、ぜひ参考にしてください。
臨床検査技師の将来が不安視される理由って?代表的なものを紹介
臨床検査技師の将来性が心配される主な理由は、下記の通りです。
かつての検体検査業務では、臨床検査技師が使用する試薬の調整や測定などを手作業で行っていました。細かく難しい作業のため、検査を実施するにあたって臨床検査技師は欠かせませんでした。しかし、現在は検査機器の進化により、ほぼ全ての検査工程を機械が行えるようになりました。
さらに、これまで紙ベースで行っていた検査の依頼や結果報告は、現在はシステム上で行っています。さらに、測定結果の認証もAIによって大部分が代替されるようになりました。このような効率化により、少ない臨床検査技師でも検査ができるようになり、人員削減につながると懸念されています。
実際に医療機関における採用人数は減少傾向にあり、非正規雇用の割合も増えています。
臨床検査技師は、指定の教育機関でカリキュラムを修了し、国家試験に合格することで資格を取得できます。
臨床検査技師の国家試験の合格率は、70~80%前後で推移しており、ここ数年は新たに年間3,500人以上の臨床検査技師が誕生しています。
検査の自動化などの影響で採用数が減少しているのにもかかわらず、資格保有者が増えているため、国家資格を取得しても就職に苦労するかもしれません。
医療の高度化に伴い、臨床検査技師が行う検査にも一定のレベルが求められています。検査のなかには、エコー検査など臨床検査技師の技量が大きく影響するものも少なくありません。臨床検査技師の知識・経験によって判断基準に違いが出て、同じ状態でも異なる検査結果が出る可能性もあります。
検査結果は本来、誰が行っても同じ結果が得られるのが望ましいものです。検査の標準化を目指してAIの導入が進み、結果として臨床検査技師の削減につながる可能性があります。
(1)技術の進歩による自動化
かつての検体検査業務では、臨床検査技師が使用する試薬の調整や測定などを手作業で行っていました。細かく難しい作業のため、検査を実施するにあたって臨床検査技師は欠かせませんでした。しかし、現在は検査機器の進化により、ほぼ全ての検査工程を機械が行えるようになりました。
さらに、これまで紙ベースで行っていた検査の依頼や結果報告は、現在はシステム上で行っています。さらに、測定結果の認証もAIによって大部分が代替されるようになりました。このような効率化により、少ない臨床検査技師でも検査ができるようになり、人員削減につながると懸念されています。
実際に医療機関における採用人数は減少傾向にあり、非正規雇用の割合も増えています。
(2)資格保有者の増加
臨床検査技師は、指定の教育機関でカリキュラムを修了し、国家試験に合格することで資格を取得できます。
臨床検査技師の国家試験の合格率は、70~80%前後で推移しており、ここ数年は新たに年間3,500人以上の臨床検査技師が誕生しています。
検査の自動化などの影響で採用数が減少しているのにもかかわらず、資格保有者が増えているため、国家資格を取得しても就職に苦労するかもしれません。
(3)医療の高度化
医療の高度化に伴い、臨床検査技師が行う検査にも一定のレベルが求められています。検査のなかには、エコー検査など臨床検査技師の技量が大きく影響するものも少なくありません。臨床検査技師の知識・経験によって判断基準に違いが出て、同じ状態でも異なる検査結果が出る可能性もあります。
検査結果は本来、誰が行っても同じ結果が得られるのが望ましいものです。検査の標準化を目指してAIの導入が進み、結果として臨床検査技師の削減につながる可能性があります。
活躍の場が広がる!「臨床検査技師は将来性がある」と考えられる理由とは
臨床検査技師は将来性がないという見方がある一方で、今後もニーズはなくならないという意見が少なくありません。その理由について解説します。
これまでは病気が発症したら治療するという考えでしたが、近年は病気になるのを予防する「予防医療」のニーズが高まっています。
日本で高齢化が進むなか、健康上の問題によって日常生活が制限されずに生活できる期間である「健康寿命」をいかに伸ばすかが重要視されているからです。
健康寿命が伸びれば、本人の生活の質が向上するのはもちろん、医療費や介護費をおさえられ社会保障制度を維持できます。
生活習慣病やがんなどの予防・早期発見のためには、健康診断が不可欠です。健康診断を受ける人が増え、検査を受ける人に占める健康な人の割合が増加しています。
その結果、健康診断専門の検診センターが普及し、多くの臨床検査技師が活躍しています。今後も、予防医療のニーズは高まると予想されています。
不妊治療では、「胚(はい)=受精卵」を取り扱う専門職である「胚培養士」が重要な役割を担っています。胚培養士は、身体の外で精子と卵子を受精させ母親の身体に戻すプロセスで、胚凍結や胚融解、培養などを行う職種です。
胚培養士の多くはもともと臨床検査技師として活躍していた人です。胚培養士は、医療機関に勤務し、時には患者の悩みを聞き、状況を説明する場面がある仕事です。そのため、医療の専門知識と医療現場での経験を持つ、臨床検査技師に適しています。
さらに、手先が器用である・顕微鏡などの精密機器の操作に強い・臨床検査もできるなど、胚培養士に活かせるスキルをたくさん持っています。
晩婚化に伴い、不妊治療を受ける人の数は増加しており、厚生労働省の「不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック」※1によると、2021年に不妊の検査や治療を受けた夫婦は、約4.4組に1人です。
2022年4月からは、不妊治療の保険適用範囲が拡大され、これまでは保険適用外だった人工授精や体外受精が原則3割負担となりました。不妊治療へのサポートが手厚くなることにより、ニーズはさらに高まると考えられます。
胚培養士はまだ新しい仕事だということもあり、圧倒的に数が足りていません。臨床検査技師から胚培養士へのキャリアチェンジは、今後増えていくと考えられます。
※1:不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック
2021年10月1日から臨床検査技師等に関する法律の一部が改正されました。改正により、厚生労働大臣が指定する研修をあらかじめ受ければ、医師や歯科医師の具体的な指示のもとで、採血・検体採取・生理学的検査に関連する行為などを臨床検査技師が行えるようになりました。
臨床検査技師が検査関連の業務を一貫して対応できるようになることで、今後ニーズが高まる可能性があります。
実は臨床検査技師は、人間だけではなく犬や猫などの動物も検査の対象です。人間に使用する薬剤と動物に使用する薬剤には同じ成分が使われていることも多く、採取した尿や血液から病気の診断や健康状態の確認をする検体検査もできます。
ペットを飼う人の増加に伴い動物病院に通院するケースが増えており、病気の治療や健康管理のために臨床検査を実施する動物病院も少なくありません。
大手動物病院を中心に、動物の検査を専門に行う臨床検査技師の採用が増加しています。動物医療における臨床検査はまだ新しい分野のため、今後ニーズが高まる可能性は十分あります。
臨床検査以外にも、獣医師からの質問への回答や新しい検査項目の開発など、動物医療におけるさまざまな場面で、臨床検査技師の活躍が期待されています。
(1)予防医療のニーズ増
これまでは病気が発症したら治療するという考えでしたが、近年は病気になるのを予防する「予防医療」のニーズが高まっています。
日本で高齢化が進むなか、健康上の問題によって日常生活が制限されずに生活できる期間である「健康寿命」をいかに伸ばすかが重要視されているからです。
健康寿命が伸びれば、本人の生活の質が向上するのはもちろん、医療費や介護費をおさえられ社会保障制度を維持できます。
生活習慣病やがんなどの予防・早期発見のためには、健康診断が不可欠です。健康診断を受ける人が増え、検査を受ける人に占める健康な人の割合が増加しています。
その結果、健康診断専門の検診センターが普及し、多くの臨床検査技師が活躍しています。今後も、予防医療のニーズは高まると予想されています。
(2)不妊治療の普及
不妊治療では、「胚(はい)=受精卵」を取り扱う専門職である「胚培養士」が重要な役割を担っています。胚培養士は、身体の外で精子と卵子を受精させ母親の身体に戻すプロセスで、胚凍結や胚融解、培養などを行う職種です。
胚培養士の多くはもともと臨床検査技師として活躍していた人です。胚培養士は、医療機関に勤務し、時には患者の悩みを聞き、状況を説明する場面がある仕事です。そのため、医療の専門知識と医療現場での経験を持つ、臨床検査技師に適しています。
さらに、手先が器用である・顕微鏡などの精密機器の操作に強い・臨床検査もできるなど、胚培養士に活かせるスキルをたくさん持っています。
晩婚化に伴い、不妊治療を受ける人の数は増加しており、厚生労働省の「不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック」※1によると、2021年に不妊の検査や治療を受けた夫婦は、約4.4組に1人です。
2022年4月からは、不妊治療の保険適用範囲が拡大され、これまでは保険適用外だった人工授精や体外受精が原則3割負担となりました。不妊治療へのサポートが手厚くなることにより、ニーズはさらに高まると考えられます。
胚培養士はまだ新しい仕事だということもあり、圧倒的に数が足りていません。臨床検査技師から胚培養士へのキャリアチェンジは、今後増えていくと考えられます。
※1:不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック
(3)業務範囲の拡大
2021年10月1日から臨床検査技師等に関する法律の一部が改正されました。改正により、厚生労働大臣が指定する研修をあらかじめ受ければ、医師や歯科医師の具体的な指示のもとで、採血・検体採取・生理学的検査に関連する行為などを臨床検査技師が行えるようになりました。
臨床検査技師が検査関連の業務を一貫して対応できるようになることで、今後ニーズが高まる可能性があります。
(4)動物医療への進出
実は臨床検査技師は、人間だけではなく犬や猫などの動物も検査の対象です。人間に使用する薬剤と動物に使用する薬剤には同じ成分が使われていることも多く、採取した尿や血液から病気の診断や健康状態の確認をする検体検査もできます。
ペットを飼う人の増加に伴い動物病院に通院するケースが増えており、病気の治療や健康管理のために臨床検査を実施する動物病院も少なくありません。
大手動物病院を中心に、動物の検査を専門に行う臨床検査技師の採用が増加しています。動物医療における臨床検査はまだ新しい分野のため、今後ニーズが高まる可能性は十分あります。
臨床検査以外にも、獣医師からの質問への回答や新しい検査項目の開発など、動物医療におけるさまざまな場面で、臨床検査技師の活躍が期待されています。
将来に向けて臨床検査技師がすべきことって?キャリアアップの方法とは
臨床検査技師として将来にわたって活躍するために、おすすめのキャリアアップの方法を紹介します。
検査の自動化が進んでも、臨床検査技師でなければいけない業務は多くあります。スキルを磨き関連資格を取得することで、他の臨床検査技師と差別化でき、活躍の場が広がります。
スキルアップに役立つ主な資格は、一級臨床検査士・超音波検査士・細胞検査士です。
心電図検査や超音波検査などの「生理機能検査」は、検査過程で複雑な判断が求められるケースが少なくありません。そのため、自動化が難しく、医師から意見を求められる場面が多くあります。
臨床検査技師の力量が問われるため、スキルを磨けば、転職市場での価値を高められます。特に超音波検査は、需要に対して人材の育成が追いついていない面があるため、若手のうちに超音波検査に挑戦できる職場に転職するのもおすすめです。
胚培養士は、体外で精子や卵子を取り扱う仕事で、不妊治療において非常に重要な役割を担っています。
胚培養士はまだまだ人数が不足しており、晩婚化や体外受精の保険適用を背景に、今後もさらにニーズが伸びると考えられます。将来性を重視する場合は、胚培養士としてキャリアを積むのもおすすめです。
(1)関連資格を取得する
検査の自動化が進んでも、臨床検査技師でなければいけない業務は多くあります。スキルを磨き関連資格を取得することで、他の臨床検査技師と差別化でき、活躍の場が広がります。
スキルアップに役立つ主な資格は、一級臨床検査士・超音波検査士・細胞検査士です。
(2)機械化が難しい分野に挑戦する
心電図検査や超音波検査などの「生理機能検査」は、検査過程で複雑な判断が求められるケースが少なくありません。そのため、自動化が難しく、医師から意見を求められる場面が多くあります。
臨床検査技師の力量が問われるため、スキルを磨けば、転職市場での価値を高められます。特に超音波検査は、需要に対して人材の育成が追いついていない面があるため、若手のうちに超音波検査に挑戦できる職場に転職するのもおすすめです。
(3)胚培養士を目指す
胚培養士は、体外で精子や卵子を取り扱う仕事で、不妊治療において非常に重要な役割を担っています。
胚培養士はまだまだ人数が不足しており、晩婚化や体外受精の保険適用を背景に、今後もさらにニーズが伸びると考えられます。将来性を重視する場合は、胚培養士としてキャリアを積むのもおすすめです。
まとめ
「臨床検査技師は将来性がない」と言われる背景には、技術の進歩による検査の自動化や資格保有者の増加、医療の高度化などがあります。
しかし、予防医療のニーズ増・不妊治療の普及・業務範囲の拡大・動物医療への進出など、プラス材料も多くあります。
関連資格の取得や機械化が難しい分野への挑戦、胚培養士へのキャリアチェンジなど、キャリアアップの道はたくさんあります。
医療業界専門の転職サイトには、臨床検査技師の経験を活かせる求人が多数あるので、キャリアプランの参考にチェックしてみてはいかがでしょうか。
しかし、予防医療のニーズ増・不妊治療の普及・業務範囲の拡大・動物医療への進出など、プラス材料も多くあります。
関連資格の取得や機械化が難しい分野への挑戦、胚培養士へのキャリアチェンジなど、キャリアアップの道はたくさんあります。
医療業界専門の転職サイトには、臨床検査技師の経験を活かせる求人が多数あるので、キャリアプランの参考にチェックしてみてはいかがでしょうか。
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